形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と貝の文化(10)

 

 

                             「雨の女神」誕生と  「二枚貝」(4)

   上部(後期)マグダレニアン(Supe'rieur Magdale'nienne)文化の表象(3)
                                           平衡(バランス)の表象

 

 

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(29)「二本線」の表象 1.Cueva(洞窟)de la Pileta,Ma'laga(Gibraltar近く),Spain

            2.Crotte(洞窟)de la Bernifal,France(南仏)

           THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

これまで見てきた「馬」、「雲」、「雨」の表象に続き、上部(後期)マグダレニアン(Supe'rieur Magdale'nienne)期期に「平衡の表象」は洞窟壁画に現れます。

焼けた大地に「雲」が湧き「雨」が降り、「平衡」が保たれ動物が帰ってくることを願う表象です。直接的な「動物」に「雲」、「雨」の壁画から、「平衡」を「二本線」で表す概念的な表象に発展しています。

 

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(66)平衡の王女;1,2,Karanovo culture,Bulgaria,c.BC5,800.

 The Language of GODDESS Marija Gimbutas(参照)

 

 「二本線」の表象は前述の「平衡の王女」の鼻として現れていました。

 

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(30)丸(雨)に「二本線」の土器文様;1.Dimini culture,Thessaly,Greece

                                                 2.Cucuteni culture,Sipenitsi,Ukraine

      THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

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(31)S字形の「沸き立つ雲文様」に組み込まれた「二本線」、土器文様

  Cucuteni culture,Sipenitsi,Ukraine

   THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

「平衡」を表す「二本線」は、丸(雨)の中に置かれ「雨による平衡」の表象になります。BC5,ooo~BC4,000年頃に「Cucuteni culture,Sipenitsi,Ukraine」などの文化圏を中心に広く現れます。

 

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(32)西ウクライナ;BC4,000、Cucuteni culture

古ヨーロッパの神々;Marija Gimbutas

 

「Cucuteni culture」の中庸になると、円(雨粒)に「二つの雨粒」が入り、さらにその中に「二本の波線」で表された「雲」の表象が二つ入った、複雑な表象も現れたいます。またこの大きな「二つの雨粒」の概念ははテラコッタの「平衡の王女」にも見られます。

後に「円」は「円環」や「大地」などの観念的な表象に変容しますが、「円」、「丸」、「点」などは「雨による平衡」の「雨粒」から始まったと考えます。[

輪になって踊る」の原義は「ズールーの円環」以前に「雨による平衡を祈る」だと思います。「ズールーの概念」は「雨による平衡」から生まれていました。このことは次回(平衡の表象・V)で詳しく書くことになります。       

アメリカの先住民・「ナバホ族」(参照)は「ホウジョウ」という言葉を持っています。。彼らの「ホウジョウ」は「自然の調和した良い状態」を意味します。「ホウジョウ」という概念も「雨による平衡」から生まれていました。ただし、「ナバホ族」などの「アナサジ文化の部族達」は、地中海のサルデーニャ島あたりで変容した新しい「雨による平衡」の概念を、南からの伝播で受け取った可能性が高いのです。新しい「雨による平衡」の概念は太平洋を越えています。彼らの住居遺跡や岩絵がそれを教えてくれます。(長くなるので後日説明)

 

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(74)プエブロの部族達の文様、編まれる以前の「概念の形」;和久譲治メモ(参照)

 

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(52)「円環」;編目のKnotsによる見え方;TRIBAL & VILLAGE RUGS   Thames & Hudson(参   照)

 

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(85)Me'htelek遺跡発掘レポートメモ,Janos Makkay(参照)

      Koros Culture,Hungary

 

「渦巻く雲」の表象は、「巻貝の概念(参照)」で解ったように「渦巻き」が表す「生命の誕生」の意味が「雲」に加わり「沸き立つ雲」となります。

写真(74)の真ん中の表象は「雲」の表象が「渦巻き」(巻貝の渦巻き概念・生命の誕生・参照)の概念が強く残る東ヨーロッパで「渦巻き」と結び付き、さらに「編目のKnots」により変容しています。このことが示すのは、スペイン、南仏、イタリアや北アフリカなどの地中海地域で、「土器」の発達は東アジアに比較して遅れていたことです。「編目のKnotsにより変容」は、これらの文様が成立した後も。編み籠が日常的に使用されていたことを示しています。土器にこの概念がそのまま表現されると、写真(74)右側の表現になるはずです。日本の縄文土器がその例です。

また縄文土器をはじめとする土器の文様に「雲」、「雨」、「雨による平衡」、「平衡の王女」が現れるのは、「土器」が「水」を入れる器として誕生した結果ではないでしょうか。

 

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新潟県、笹山遺跡;縄文時代中期

縄文の力

 

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(33)ルーマニアの「人面」表象

 

上の写真はルーマニアで見られるれる「二本線」を鼻に見立て、二つの「雨粒」を「目」に見立てる造形です。写真(32)の「大きな雨粒」と組み合わせた「平衡の王女」が現れます。

 

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(33)西ウクライナ;BC4,000、Cucuteni culture

  古ヨーロッパの神々;Marija Gimbutas

 

このテラコッタには「開いた手」と同じ、「五本のネックレス」、「五本の垂線」が「雲」と「雨」を表しています。

 

 

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(34)西ウクライナ;BC4,000、Cucuteni culture

  古ヨーロッパの神々;Marija Gimbutas

 

この「豚の鼻」にも似た造形に先立ち、王女の顔を持った「豚」のテラコッタがBC5,000年代のブルガリアやマケドニアで作られています。そして、縄文時代の日本では「イノシシ」になって登場します。

 

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(35)豚のテラコッタ;マケドニア;BC5,000年頃

 

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縄文テラコッタ;イノシシ;青森県,十腰内遺跡

縄文の力

 

この「豚の鼻の王女像」は日本でも見られます。

 

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(33)勝坂式縄文土器にみられるトンボ眼鏡文のモチーフ(?)

  縄文人の世界;小林達雄

 

勝坂式縄文土器に現れた「トンボ眼鏡文」は,この「豚の鼻」に似た造形の「平衡の王女」であり、「丸(雨)」に「二本線(平衡)」が表す概念「雨による平衡(バランス)」からの変容です。

 

 

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(34)双頭の動物テラコッタ;Starc'evo culture,Macedonia;BC5,800~5,600.

        THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

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縄文双子土器;福島県、三貫地貝塚

不思議な縄文土器;大田区立郷土博物館

  

同じ「二本線」で表す平衡の概念は、また別の流れに変容します。双頭の動物や、二つの注ぎ口を持つ土器などです。アフリカの創世神話では「双子」は「神」でした。ハプスブルク家の紋章で有名な「双頭の鷲」のルーツも「二本線」にあります。

 

日本の縄文時代と「雨による平衡の概念」については、後日詳しく書きます。

 

さらに「二本線」で表された「平衡」は、「二本指」でも表象されるようになります。

 

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(61)豆粒文、ギザギザ・垂下・貼付隆線文、平衡の王女・貼付隆線文土器

 ko"ro"s culture,Hungary;BC5,500~BC5,400?(参照)

 The Language of GODDESS

 

これは、写真(29)「二本線」の表象 1.Cueva(洞窟)de la Pileta,Ma'laga(Gibraltar近く),Spainの洞窟壁画の「二本線」が「二本指」を使って描かれていることに関連していると考えます。複数の斜線は「雨」の表象ですが、「「手の指」すべてを使って描かれた為に、「開いた手」そのものが「雨」の表象になったのと同じことだと思います。(後に説明します)

 

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(34)「開いた手(雨)」、「二本指(平衡)」、「雨粒(雨)」、「三本線(水)」が見られる土器装飾、「二本指」に「雨粒」の表象は「2」の概念により二個見られます。真ん中には「平衡の王女」が見られます。(次回説明)

 

二つの「Y]に「雨」を組み合わせ「雨による平衡」の表象が現れます。やがてそれはSheveron「V」となっていきます。このようにSheveron「V」は「平衡」、「平衡の王女」の表象だったのです。

 

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