形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と貝の文化(11)

 

 

                                 「雨の女神」誕生と  「二枚貝」(4)

   上部(後期)マグダレニアン(Supe'rieur Magdale'nienne)文化の表象(3)
                                           平衡(バランス)の表象(2)

 

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(34)Hungary(ハンガリー)土器文様;BC5,000年頃

  THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

平衡(バランス)を表す「二の概念」は「二本線」から「二本指」に変容します。(参照)そして、写真(34)に見られる「二本指」の表象は、さらにCheveron「V]に変容します。

 

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(35)「V](Cheveron)による「平衡」の変容

    THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

さまざまなCheveron「V]に変容した「平衡」の表象は、「雨による平衡」をより明確に表すために、「雨」の表象と組み合わされます。

 

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(36)土器、洞窟壁画に現れた「平衡」と「雨」の組合せ文様(雨による平衡)

  和久ノート

 

「松本の七夕人形」になったと考える「平衡の表象」は南仏(Southern France)の「洞窟壁画」に現れています。

 

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(37)(1),(3)~(5)Grotte de la Font-de-Gaume;Supe'rieur Magdale'nienne

        (2),(6)Grotte de  la Bemifal

       THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

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(38)Grotte de Font-de-Gaume;wikipedia;Supe'rieur Magdale'nienne

      wikipedia

 

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(39)松本・村山人形店の伝統的な七夕人形

 

BC5,000年代の「平衡の王女」は主に腕を水平に開くようになります。松本に伝わる「七夕人形」は明らかに、「平衡」を表す「Cheveron V」の構図になっています。南仏・「Supe'rieur Magdale'nienne(13,500年前~12,000年前、上部マグダレニアン文化)」の「平衡の王女」が伝播したことを示しています。松本で育った年配の方なら、里芋の葉から丸い水滴を取り、それを使って硯で炭を擦り、願い事を短冊(五色で水玉や雨を表す斜線が入っている)にしたためたことがあるはずです。松本の七夕は「雨による平衡」に深くかかわった行事です。

 

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(24)「雨」と「雲」で表現された「平衡の概念」、そして「平衡の王女」へ

   Grotte(洞窟) de Bernifal、France;Supe'rieur Magdale'nienne

           Wikipedia(参照)

そして「雨による平衡」の概念は人形を取り始めます。

前述のこの表象も写真(36)の「松本の七夕人形」に現れた「V」の変容した「平衡の概念」の形に、「雨」(雨粒)を含み、「垂れ下がった雲」(連続する逆アーチ、後に「こいのぼり」のウロコにも変容します)で表現したものです。「七夕」が「平衡の概念」や「平衡の王女」に関係した行事であることは、後日詳しく書くことにします。たとえば、「水」に関連する「両国の川開き」の「花火」の掛け声に使われた屋号は「鍵や」、「玉や」です。「玉や」はそのまま「雨」のこと、そして「鍵や」は「沸き立つ雲」のことです。

 

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(39)江戸時代、縁起の良いとされた宝輪(ホウヤク)、雷文形の鍵

  文様辞典

 

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(74)プエブロの部族達の文様、編まれる以前の「概念の形」;和久譲治メモ(参照)

 

 一番下の「たなびく雲」に片方だけ「渦巻き」、つまり「沸き立つ雲」を加え、編目に変換すると、写真(37)の「鍵形」になります。「鍵や」は「沸き立つ雲」のことです。空に「花火の火」地上に「川の水」、そして掛け声は雨」と「雲」です。「炎・火」と「水」の行事は「雨による平衡」を祈願することが変容したものだと思います。東大寺二月堂の「お水取り」(二月堂、修二会、二の概念)、岡崎市龍山寺「鬼まつり」(今考えると丸い鏡餅は」豊穣」と同時に「雨」の表象でした。そういえば餅の形は「丸(雨粒)」か「短冊(雲)」、「アーチ形(垂れ下がった雲)」でした。)」(参照)、奈良県五條市念仏寺の「鬼はしり」(参照)なども「火」と「水」の行事です。

数年前、どうしても「鬼と火と水」の行事が見たくて奈良県五條市念仏寺と岡崎市龍山寺に出かけました。五條市は初代「鍵屋」の鍵屋弥兵衛の出身地、三河は家康の出身地で花火が有名です。どちらも火薬の製造地だったところです。しかし、この二つの祭を選んだ理由は、共通する古代の歴史と遺物など「新しい文化の伝播地」だったことでした。また共通するキーワードが加わったようです。

そういえば、岡崎市龍山寺「鬼まつり」では、鬼が「丸・雨」の表象を持ち、大和五條「阿弥陀堂の鬼はしり」では、鬼は「火」を持っていました。青鬼は「雨」、赤鬼は「火」で、併せて「鬼」は「雨による平衡・豊穣(アメリカの先住民・「ナバホ族」(参照)は「ホウジョウ」という言葉を持っています。。彼らの「ホウジョウ」は「自然の調和した良い状態)の概念」を具現化した存在であったようです。東北地方の民話の鬼は、田畑に「水」を引くなど「水による豊饒」を表しているようです。

節分の「豆まき」も「赤鬼」に「豆・丸・雨粒」を撒くと解すれば、「雨による平衡」の行事になります。何人かの方が唱えている「鬼」の原型が女性であったとする説は、「平衡の王女」の顕現と考えれば理解できる説だと思います。

私は徳島県三好市で子供の頃「七夕」を祝っていました。「雲」の表象・「短冊」(五色・開いた指の数)に願い事を書いて竹の枝にいっぱい飾り付けます。夜になると、「短冊」が風に揺れ、「雨音」を響かせます。その傍らで「花火」を打ち上げるのです。近隣の家々からも「打ち上げ花火や火矢」が飛び交います。街は空の「火」と地上の「雨音」に包まれていました。翌朝早く、子供たちは「短冊」いっぱいの竹を担ぎ、川に流しに行きました。「水」は「水」に返すのです。

それから仙台の「七夕飾り」はどう見ても「雨」の表象です。

 少なくとも徳川の江戸時代には、日本において「雨による平衡の概念」は多くの行事になっていました。その意味が変えられたのは明治時代になってからです。山梨市内にはいたるところに、「丸石神」が祀られています。(参照)「丸石神」は「雨粒」、つまり「平衡の王女の顕現」です。(参照)

それと、NHK「日本人の名前」で「切手」さんの由来が放送されていました。「切」は「仕切る、管理する」で、「手」は「水」、つまり「水を管理する人」だそうです。「手」が「水」を表しています。写真(34)「Hungary(ハンガリー)土器文様;BC5,000年頃」を見て下さい。同じ表象です。

 

後日、もっと多くの事例を紹介するつもりです。

 

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(40)BC5,200~4,000年頃のバルカン半島北部から、ハンガリーに現れた人形の「雨による平衡」

       THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

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(41)「V]による「平衡の王女」の変容

    THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

写真(38)の(7)は「ミノア文明」期の土器装飾に、(8)はイタリアの「Daunian pottrey」に現れた二つの「△」による「平衡の王女」表象です。Marija Gimbutas女史の資料ではいずれも写真(34)「Hungary(ハンガリー)土器文様;BC5,000年頃」より新しい年代の文化、文明になりますが、「雨による平衡の概念」の伝播経路を考えると、イタリア半島やクレタ島が先になります。

 

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(23)「ソリュートレアン(Solutre')文化」の領域;Wikipedia

 

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(22)「マグダレニアン( Magdale'nienne) 文化」の領域;Wikipedia

 

「ソリュートレアン(Solutre')文化」の領域と「隕石衝突」(参照) 後の「マグダレニアン( Magdale'nienne) 文化」の領域を比べると、「マグダレニアン( Magdale'nienne) 文化」が南仏からイタリア半島に広がっていることが分かります。「隕石衝突」後約1,000年続いた突然の寒冷期・「ヤンガードリアス(Younger Dryas)」にヨーロッパ進出したアフリカの新人部族の多くが地中海北岸領域に南下したことを物語っています。「雨による平衡の概念」は地中海北岸領域で根強く発展したと考えます。その影響下、地中海南岸領域と北アフリカに「ズールーの概念」が形成されていったと思うのです。地中海北岸領域には新しい文化が生まれます。それは、海での生活、すなわち本格的な「海洋民」の誕生です。「雨による平衡の概念」はここで「二枚貝」と出会ったと考えるのです。

 

 

 

 

 

 

 

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