形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

Jewelrymaking・ジュエリーメイキング(1) 洋彫りと和彫り

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Petit Fiori(プティフィオリ)和久譲治x和彫り;銀,ピンク貝、紫貝、ホワイトトパーズ

日本橋三越限定品(秋のプロモーション;9/9~9/23;本館一階アクセサリースペース)

 

JAPAN「和」をテーマに取り入れるMI企画により完成したブローチです。ジュエリーですが、装飾文化史のカテゴリーで紹介します。「和」と「洋」のジュエリーの現状と、もう少し広い視野での「和」と「洋」を考えてみたいからです。この企画で試してみたかったのは、「和彫り」と「洋彫り」の融合でした。日本のジュエリーでは「石留め」も「文様彫り」も、小さいハンマー(おたふく)で鏨(タガネ)をたたいて彫り進みます。いわゆる「彫留め」と「和彫り」です。日本でいう「洋彫り」とは、木彫の彫刻刀のような「graver・グレイバー」で手彫りすることです。それゆえ、「和彫り」は切断面が鋭い鏡面になり、強いひかりの反射を出すことが出来ます。「洋彫り」は手でデリケートなコントロールが出来るので、繊細な表現が可能です。作品では葉の部分に「和彫り」で強い光を載せ、蕾と茎に「洋彫り」で優しい表情を付けました。また、「ピンク貝、紫貝」は「洋彫り」の「graver・グレイバー」で彫り上げています。花のやさしさは、イタリアの「カメオ」彫りと同じ方法の「graver・グレイバー」による手彫りが適しています。

もっと詳しく説明すると、花は彫刻刀のような「graver・グレイバー」で彫り、蕾と茎は「liners]と呼ぶ「筋彫りグレイバー」を使っています。「liners]を使った「florentine Finish]はミラノのMario Buccellati(マリオ ブチェラッティ)が完成させた表面仕上げ彫りです。皆様が良く知るジュエリーブランド「ブチェラッティ」の初代です。ミラノの彼が完成させた「florentine Finish]ですが、フローレンスの工房で流行したため「フローレンタイン」と呼ばれています。さらに詳しく説明すると、茎は平行線で仕上げる「rigato」、蕾はベルベット仕上げの「segrinato」の仕上げになっています。

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Petite collier(プティコリエ);ボタニカルシリーズ

ボタニカルシリーズの茎、葉の輪郭の彫りは「洋彫り」で、アンティークジュエリーでもよく見かける「graver・グレイバー」による彫り「bright cut」です。整然とした優しさを感じさせてくれます。もう40年近く彫り続けている大好きな表現方法です。ちなみに、バラの花弁は、日本の「鍛金」に近い、銀器作りのテクニック「silversmithing]で銀板から型作りしています。ふっくらとしたやさしい流れが表現できます。ただ「silversmithing]の工具はすべて大きいので、ジュエリー用に極小の「stakes and anvils]や「raising hammers]は手作りします。

 

 しかし、なぜ「和彫り」、「洋彫り」と区別して呼ぶのだろうか?本質的にそんな区別があるのか?考えてみましょう。  つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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