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形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝(2)      国立西洋美術館

装飾文化史 表象文化史 ジュエリー文化史

 

黄金伝説図録写真解説

 

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(3)ETORURIA金製腕輪;チエルウェテリツルボ墓地、レコニリーニ、・カラッシの墓、イタリア

 BC675年~BC650年

(2)と同じく石刃表象、「Chevron(Cheveron仏古語)」と「Me'andre(Meander・英)」に囲まれた長方形の大地に は、生殖の女神=「チューリップの三女神(胴体部分はチューリップ花)」がいる。この「豊饒の大地」の上に乗っている長方形も 「Chevron(Cheveron仏古語)」と「Me'andre(Meander・英)」に囲まれ「石刃」由来の「豊饒の大地」を示す。ただ、型押し(die stamping)と粒金細工(granulation)で表現された図柄はあまりにも奇妙なのです。過去に見たことがありません。黒海の 大洪水(BC5,600年頃)のあと「鳥トーテム」を持った人々は進んだ文化を持って世界に散らばります。メソポタミアにも「鳥(フクロウ)とライオンを 聖獣とする「出産・生殖の女神」がやってきました。そして、塩害に強く、メソポタミアの人々にとってかけがえのない「ナツメヤシの木」は多産・豊穣の観念 から「出産・生殖の女神」と習合して神格化し「生命の樹」が生まれます。やがて西アジア一帯に「生命の樹の樹液を舐めて、栄養を貰う有翼のライオン」が工 芸品やレリーフに現れます。特にBC12世紀からティルスで地中海の海上貿易を担ったフェニキュアの工芸品・象牙の彫り物にはこの意匠が見られます。エジ プトの影響を受けた「ハス型の三葉(チューリップ繋がりの三です。」は「生命の樹」表現に多く使われています。このブレスレットの構図は明らかにフェニ キュアの工芸品の影響を受けています。中心に居るのは「生命の樹の女神」なのでしょうか?「出産・生殖そして生命に溢れた豊饒の大地」、なんともありがた い意匠です。が!いつも聖樹(豊穣のナツメヤシと出産・生殖の女神)と伴にあった聖なる合成獣が刺されているのです。ありえない構図です。この図案から私が考え られるのは、海上貿易の覇権を争う3者の確執です。そして特に、BC9世紀からにな南イタリアに植民都市を作り、多くの人々を送り込んでくるギリシャに対する敵意です。このブレスレットの持ち主が、王家の女性だとすると、{イタリア半島という「豊饒の大地」の樹液を舐めているライオン=ギリシャ人を剣で刺す}呪詛ではないでしょうか。女神は両手に「生命の樹」を持ち、ライオンに舐めさせます、そこを剣で刺しているのです。地中海沿岸の人なら誰にでも分かる、フェニ キュアの工芸品の意匠を借りた「呪詛」だと思います。そうすると、真ん中の神は「豊饒の大地の女神」になります。

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