形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝(3)      国立西洋美術館

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(4)金製イヤリング;BC650年~BC625年・Argos,Greece

 

(3)金製腕輪;チエルウェテリツルボ墓地、レコニリーニ、・カラッシの墓、イタリア、この図案の意味は、今回の展示品の中にありました。(4)金製イヤリングを見て下さい。ライオン(フェニキュアの工芸品は有翼)が「生命の樹」の樹液を舐める構図で作られています。そして、「生命の樹」の位置には、両手で「柘榴」を抱え、頭にギリシャ時代には神性を示す「ハチマキ(ディアデマ)」を被った女神がいます。「冠」と「柘榴」はゼウスの妻・ヘラのシンボルです。つまり、ヘラは「イシュタル」と同じ「多産と豊穣の女神」だったのです。メソポタミアで「ナツメヤシ」が「生命の樹」になったように、イラン西南部からシリアではみずみずしい「柘榴」が人々の大切な食べ物であり、「生命の樹」は「柘榴」に変容します。「柘榴」の赤く(赤色は出産を表す、旧石器時代より世界共通の観念)、種のいっぱい詰まった様子は多産のシンボルにふさわしいのです。ヘライオン(Heraion)・ヘラ神殿」において、ヘラと聖獣ライオンは一体の存在です。(3)金製腕輪の図案は{「生命の樹」でおびき出し、ヘラの聖獣を剣で刺している。}が答えでした。

ヘラは「多産と豊穣の女神・生命の樹」ですから、ソポタミアと西アジアで崇拝された女神です。ミケーネ文化では「豊饒の大地の女神・ゴルゴン」と伴にあったはずです。その女神がゼウスの妻になり、インド・ヨーロッパ語族の女神に取り入れられたわけです。ただ今回の展示品から新たに解ったことがあります。古代ギリシャでは「インド・ヨーロッパ語族の南下」などと一言では言えず、本当に多くの部族が、長い時間をかけて共存の哲学を作っていったことが「形而下の石」に見えることです。「nomos]の言葉と相対的な考え方が芽生える古代ギリシャであったようです。作りは「型押し(die stamping)」でパーツを作り、蝋付けで組み立てています。下部の円錐は、「連珠」すなはち、「渦巻きの連続紋」の「Me'andre(Meander・英)」で、上部の「大地を表す円板を支えています。「石刃」から想起された「観念はミノア、ミケーネ文化でより多様化しギリシャにも、踏襲されています。BC500年頃まで各ポリスや各ノモスで、部族それぞれの文化は受け継がれてていたようです。展示品から後日見てみることにします。 

 

 

 

 

 

 

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