懸魚(けぎょ)と野ブドウ
(29)六所神社;千葉県夷隅郡;88px×31px
六弁花・野ブドウの「懸魚」
写真(31)・大山祇神社(大山積神社)の「懸魚」は六弁花の「柘榴」と「シルフューム・ハート形の実(参照)」が「ナツメヤシ」の幹と組み合わせてあります。ミノア文明・「生命の樹」の良く表れた「懸魚」です。色々な神社の「懸魚」を見てきましたが、千葉県夷隅郡「六所神社」の「懸魚」は非常に珍しいと思います。コーカサス地方の「葡萄」はミノア文明に「生命の樹」として伝わっなかったはずです。ところが、「六所神社」の「懸魚」には、「生命の樹」の表象が現れる場所に「野ブドウの花」が見られるのです。この結びつきは写真(22)横たわるシレノスが表された飾り板;ヴィニャネッロ、クーバ墓地、第七号墓、イタリア(BC480年頃)と同じ頃、エトルリアで起こったのではないでしょうか。「野ブドウの花」には「生命の樹」と結び付く意味合いが考えられます。
(26)野ブドウの花 ; リンク・みんなの花図鑑
(22)横たわるシレノスが表された飾り板;星形・五弁花(拡大)
(31)懸魚;大山祇神社(大山積神社);大三島神体山・鷲ヶ頭山の西麓に鎮座する。
和久譲治撮影
写真(27・28)カルロ・ルスピによるタイクィニア、トリクリニオの墓・葬祭絵画複製画(BC470年頃)で「月桂樹」「イチョウ」と伴に描かれているのは「野ブドウ」です。他のタイクィニア、トリクリニオの墓・葬祭絵画をよく見ると、宴会場面の頭上に、アッカドやアッシリアの宴会場面・レリーフと同じような幹の太いブドウの茎が見られます。このブドウの樹は自家受粉する両性花の「Vitis vinifera],iいわゆる「ヨーロッパブドウ」です。「Vitis vinifera]は「野ブドウ」のような花は咲きません。エトルリアでも葡萄酒を作ったのは自家受粉して収穫量の多い「Vitis vinifera]からではないでしょうか。そう考えると「野ブドウ」には祭儀的な意味合いが考えられます。「有翼鷲頭精霊」の受粉場面のような祭儀的な意味です。ブドウの原産地・コーカサス地方にそのルーツを考えるべきでしょう。「イチョウ」についても同じ様な意味合いが考えられます。
(32)生命の樹ブローチ:日本橋三越本店「逸品会」出品作品;和久譲治
18金製、ダイヤモンド、サファイア、パール、翡翠、白蝶貝