形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(3)奈良五條・念仏寺「陀陀堂の鬼はしり」

修正鬼会(1)

 

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(1)「陀陀堂の鬼はしり」鬼面;市立五條文化博物館所蔵(撮影/製作;和久譲治)

 

2016年1月14日、昼、奈良県五條市念仏寺に着きました。実は「五條・念仏寺」について、詳しいことは知りません。「修正鬼会」を先入観を持たずに見て、「鬼とは誰なのか。」を示す「形而下の石」を積み上げたいと思っているのです。

 

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(2)「鬼はしり」当日;念仏寺

 

車止めの近くから階段を上ると、茅葺の念仏寺右側(写真3)に出ます。右側には祠堂と大きな丸太木が燃え盛る焚火台。左には注連縄で囲まれた磐座がありました。

 

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(3)念仏寺右側

 

なおも注連縄が続いているので目を左に転じると、注連縄で囲った坂道と鳥居が見えます。「これは何かある。」全身で感じました。

 

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(4)注連縄で出来た坂道と鳥居

 

先に進むと、道路があり、金網フェンスで行き止まりになっています。道路に通じない道、つまり、実用の道ではないことを示しています。祭祈の為の道なのでしょう。

 

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 (5)道路に削られ、金網フェンスで行き止まり

 

小さな祠堂と、何!!!。左側を道路に削り取られていますが、これは間違いなく、「まいまい井戸」ではないですか。関東・武蔵野台地やインド、イエメン、そしてパレスチナ、シリアなどレヴァントの砂漠地帯に実用施設としてある「まいまい井戸」に見えます。五條市念仏寺創建の重要な「形而下の石」だと思います。考えてみましょう。

(「鬼の井戸」とも呼ばれていたそうです。)

 

 

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 (6)「まいまい井戸」と祠堂(鬼の井戸)

 

そういえば、階段を登って最初に目にした「念仏寺鬼はしり保存会」の皆さんの法被・背中には「丸に隅立て井筒」が見えました。沙漠地帯や台地と違い、木々で覆われた吉野川沿いの阪合俳郷で、「井戸」すなはち「水」がシンボルとなっていることは、他の意味合いが考えられます。おまけに「まいまい井戸」です。

 

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  (7)「念仏寺鬼はしり保存会」法被・背中の「丸に隅立て井筒紋」

 

「陀陀堂」正面に立つと、左手に「柴灯護摩供」の準備がととのっています。そして、その後ろには、全く無視されたように「弁才天」の祠堂がありました。なんと屋台の裏にされ、梯子などの資材が祠堂前には無造作に置かれていました。「念仏寺鬼はしり」には関係ないとでも言われている様なのです。「たこ焼き」屋台の中を抜けて、やっと「弁才天」の社の正面に来ました。

 

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(8)弁財天

 

千木を持つ立派な社です。そして、懸魚には「十六弁菊花紋」と「ドングリ」です。

「十六弁菊花紋」はミノア文明から「大地」を表す花として「渦巻きの中」に見られますが、 「ドングリ」との組み合わせなので、イラン由来を示しています。イランは「菊」の原産地の一つでもあり、黒海周辺とコーカサス地方は「ドングリ」の食文化が起こり、「オーク」が神聖視された最初の場所だと思います。そうなると、「弁財天」は「サラスヴァティー」・「アナヒーター」まで時代をさかのぼり、「バラモン教」が見えてくるのです。「バラモン教」では「水天」はヴァルナ」であり、「火天」は「アグニ」になり、これで初期バラモン教」の重要三大神が揃います。「氷川神社」と似ています。(三鬼・三松明はこの重要三大神に由来するのだと思います。)

 

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(9)懸魚

 

「 弁財天」の社はハート形の池で囲まれているのですが、池の中には「亀石」と「リンガ」が見えます。(写真8) インドネシアの「スクー寺院」などに見られるように「ヒンドゥー教」を示す生殖表象の石造物です。「バラモン教」の後「ヒンドゥー教」の影響を受け、そして仏教です。「紀ノ川」の流れに沿い、時代とともに多くの部族や文化が行きかってきた様子が窺えます。

 

 

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(10)亀石とリンガ

 

念仏寺から参道を望むと、独特の家並みが見えます。何故か魅せられて家々を見て回りました。

 

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(11)参道の家並み

 

塀の上には「恵比須様」や「大黒様」がおられます。

 

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(12)

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(13)

 

そして、瓦には「丸に隅立て井筒紋」。多くの文化と宗教がいきかった「阪合俳郷」の人々が自分たちで、「バラモン教・ヴァルナ」、「水神」、「恵比須様」、「水天」、と姿を変えながら維持、管理して守ってきた「水信仰」の象徴が「丸に隅立て井筒紋」なのでしょう。「念仏寺鬼はしり」の最後は「鬼の井戸」、「水天の井戸」とも呼ばれる「まいまい井戸」で松明の火を消して終るそうです。やはり「念仏寺」の一番大切な場所は「まいまい井戸」にあるようです。そして明日は飛鳥に行くことにしました。「念仏寺」の「磐座」と「まいまい井戸」を地形上で結ぶと、ふたつの「酒船石」がつくる「磐座の水儀式」が見えてくるのです。「磐座」から流れ出たみずがうねりながら「まいまい井戸」に流れこむ様子が目に浮かぶのです。この場所が神聖な「磐座」の場所であった気がしてならないのです。

 (「念仏寺鬼はしり保存会」長老の話によると、昔は立派な「鬼瓦」だったそうです。ちなみに五條市は飛鳥時代より、都への瓦・供給地でした。)

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(14)「獅子口・丸に隅立て井筒紋」と「蛇」

 

「獅子口」、「鬼瓦」の表象は「鬼」の正体を示す「形而下の石」です。しかし、まだまだ結論を急ぐ必要はないでしょう。もっともっとこの目で確かめ、楽しみたいと思います。

息災護摩供が始まります。ここからは私の写真より音声を伴った動画でご覧ください。

 

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 (15)息災護摩供

https://www.youtube.com/watch?v=V6Yn_D54vHg 

 

 

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