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形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝(20)       

表象文化史 装飾文化史 ジュエリー文化史

拝火の始まり

 

 

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(42))(35)ETORURIAパテラ(拡大);;有翼円盤と拝火の儀式

 

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 (35)ETORURIAパテラ 銀、鍍金;パレストリーナ、コロンベッラ墓地、ベルナルディーニの墓、イタリア(BC7世紀第一四半期

 

ゾロアスター教;メアリー・ボイス、山本由美子訳(講談社)の第二章・「創造と三つの時」にゾロアスター教の起こりを暗示する「神話」として次のような描写があります。

{彼は石でできた大空の下半球から暴力的に侵入してその完璧さを損なった。それから水のなかを駆け上がり、その大部分を塩水に変え、大地を襲って沙漠にした。ついで植物を枯らし、「唯一に創られた牡牛」と「最初の人間」を殺した。最後に彼は、七番目の創造物たる火を攻撃して、それを煙で穢した。このようにして彼は、すべての良い創造を物理的に損なったのである。}

これはもういかに読もうとも、BC5,600年頃、栄えた文明のあた淡水湖の黒海に地中海の塩水が流れ込んだ、いわゆる「黒海大洪水」の描写です。文明の火を塩水によってかき消された出来事を「悪」の攻撃と考え、「燃え続ける火を豊饒の大地の安寧」として「火」の神格化が始まったのではないでしょうか。後のアカイメネス朝ペルシャ時代に、ゾロアスター教の教義は整う訳ですが、BC5,600年頃から約5,000年の時間の中で、ゾロアスター教の教義は作られていったのです。ですから、その大半の時間では、「ゾロアスター教」ではなく「神聖な火を祀る儀式」として受け継がれていったはずです。バラモン教にはじまり、あらゆる「火の神・火の儀式」の起源だと考えます。

ギリシャ神話の中で、人類に「火」を与えた、プロメテウスがゼウスの怒りに触れ、鎖で縛りつけられたところは、まさに「コーカサスの山頂でした。人類は旧石器時代から「火」は使っています。プロメテウスが「火を与えた」意味とは、人間が「火を神格化すること」ではないでしょうか。ちなみに、ギリシャの人々はBC6世紀頃から、この地にあった「コルキス」との交易や「植民都市」を通じて、「ブドウ」や「有翼の女神」、「火の神格化」などの文化を学んだようです。Museum of Fine Arts,Bosuton,USAにあるギリシャのテラコッタには「実をつけた月桂樹の横で二重笛を吹く人物」(BC470)が描かれていたり、The Metropolitan Museum of Art,NYには「Bronze mirror with a support in the form of a nude girl](2nd half of BC6)があります。前者はアポロンを予感させ、後者はライオンの上に、アナヒーターの様に手に壺を持った女神が立ち、肩に乗ったグリフィンが台地を支えている構図で「豊饒を表す神の聖獣」グリフィンが女神の姿をとり始め、ペルシャではアナヒーター、ギリシャではアルテミスやアフロディテになることをを予感させる姿です。

 写真(42))(35)パテラ(拡大)の有翼円盤は、ゾロアスター教の教義成立以前の表象です。円は「大地」を表し、「翼」は「受粉の鳥妖精の翼」を表し。あわせて「豊饒の大地」となります。ですから、写真(42))(35)パテラ(拡大)は「豊饒の大地」と「拝火」の儀式と考えます。写真左の山にも「ぶどう」が実り、「コーカサス地方」こそが、「受粉の鳥妖精」も「拝火」も始まったところではないかと仮定します。ただ、まだまだの「形而下の石」が必要です。

「黄金伝説展」の展示品は調べれば調べるほどに、素晴らしい物であったことに感銘します。宮城、愛知の方々はぜひご覧ください。

 

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