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形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

フランスパン; ロデヴ(Lodeve)とリール(Lille)・二つのパンの物語(3)

ジュエリー文化史 表象文化史 装飾文化史

 

ノール=パ・ド・カレー=ピカルディ地域圏(Nord-Pas-de-Calais)

ソワソン(Soissons)

 

 

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(33)銀製・ガーネット象嵌(Hammered cloisonne' setting)フィブラ(Fibule)ブローチ;ピカルディ地域(Picardie),エーヌ県(Aisne)、5世紀後半

 

 十五年前、夢中になって読んでいた本がありました。「フランスの歴史をつくった女たち 全十巻」ギー・ブルトン 中央公論社です。

西暦492年の春たけなわのころ、ところどころに西洋サンザシの花が咲き匂うガリアの草原の中を、全速力で駆け抜けてゆく五人の騎士の姿があった。彼らはヴァランスを発って、ローヌの渓谷を遡り、リオン、ディジョン、ラングルなどの町々を通り過ごし、ついにフランク族が支配する領土にたどり着いた。が、さらに足を休める暇もなく、トロワ、シャロン、ランスなどを経て、五月のある日の朝まだき、やっとめざすクローヴィスの館のあるソワッソンにかけこんだのだった。

ライン川左岸低地に、ローマ帝国の傭兵として居住するフランク族の王・ クロディオン(金髪碧眼の北海ゲルマン)から、王位を継承したのは黒髪長髪(イラン語系遊牧民)のメロヴィクでした。358年、フランク族の隣(西南)にローマ皇帝(ユリアノス)から居住地を与えられていた、サリー・フランク族の特徴を持った、ライン川左岸フランク族の王の誕生です。参照

,メロヴィクの子・キルデリクスの墓が、サリー・フランク族の居住地・トルネイで見つかり、その姿はローマ軍人将校の制服であったそうです。つまり、彼はライン川左岸フランク族の王であり、ローマ帝国軍の将校でもあったわけです。キルデリクスの子・クロヴィスは、481年に王権を引き継ぐとすぐ、ライン川北岸のフランク人も制圧し、メロヴィク朝フランク王国を建国、初代国王(在位481年ー511年)になります。サリー・フランク族の居住地であり、クロヴィスがメロヴィク朝フランク王国・初代国王になった土地はトルネイで、ブリュッセルから西南西方向に少し行った「POUL」創業の地・リールとの間にありました。現ベルギー南西部とそれに続く北フランスが、メロヴィク朝フランク王国の中心であったのです。その中で、ベルギーとフランスの国境地帯にある「POUL」創業の地・リールは、まさにメロヴィク朝フランク王国の中心に出来た街だと言えます。サリー・フランク族、メロヴィク朝フランク王国、中世・フランドル、そしてハプスブルク帝国にルーツを持つ街なのです。

 そして、「POUL」のさまざまなパンには、楽しくも、これらのルーツが顔を出すのです。話を続けましょう。

 

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(34)486年ソワソン管区(Royaume de soissons);wikipedia

 

481年、クロヴィスがメロヴィク朝フランク王国の国王になるよりも早く、476年、西ローマ帝国は滅亡します。ゲルマン諸部族は西ローマ帝国の支配していた領土に侵攻を始めます。ただ、クロヴィスのすぐ南には、西ローマ帝国、ガリア地方の軍司令官アエギディウスの息子シアグリウスが、ローマ帝国滅亡後も支配するソワソン管区(Royaume de soissons)と呼ばれるローマ人の支配地域が広がっていました。写真(34)の中央にパリ、パリ東北80Kmにローマ領ガリアの拠点・ソワソン、ソワソン東にランスが黒丸で示されています。クロヴィスはフランク諸族を統合して、486年、ソワソンに侵攻します。そして、クロヴィスは攻略したソワソンに拠点を移します。

これまでも、西ローマ帝国の文化にふれてきたであろうサリー・フランク族やゲルマン系フランク族は、この時本格的に旧ソワソン管区(Royaume de soissons)のローマ人とローマ文化を取込み、融合させていきます。写真(33)銀製・ガーネット象嵌(Hammered cloisonne' setting)フィブラ(Fibule)ブローチ、 (35)銀製・ガーネット象嵌(Hammered cloisonne' setting)ブローチはいずれもソワソンのあるピカルディ地域圏で見つかった、当時の物です。この「形而下の石」はこの文化の融合を明確に証明します。そして、現在のフランス地域圏では、ノール=パ・ド・カレー=ピカルディ地域圏に、リール(lille)もソワソン(soissons)も含まれています。

つづく

これほど重要なソワソン(soissons)を検索してみてください。フランス小麦100%のフランス小麦ブランド・ソワソン(soissons)ばかりが出てきます。もちろん、今私は「パンの文化史」を書いていて、フランス小麦100%のソワソン(soissons)はガーネット象嵌ブローチと同じように大切なものです。しかし、日本でたとえれば、飛鳥や奈良のようなソワソン(soissons)です、もっと正確に、豊富な情報をだせないものでしょうか?ソワソン(soissons)が小麦畑に消えています。

 

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 (35)銀製・ガーネット象嵌(Hammered cloisonne' setting)ブローチ;ピカルディ地域(Picardie)、6世紀前半

 

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(36)PAUL;アンシャン・ポール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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