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形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

フランスパン; ロデヴ(Lodeve)とリール(Lille)・二つのパンの物語(5)

 

ソワソン管区(Royaume de soissons)

フランスパンを作った 文化要因

ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)・2

 

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(41)胸飾り(Grande phalere,ornement de poitrail);金、トルコ石、サンゴ、ガーネット

 一世紀後半ロストス州(ドン河河口、アゾフ湾)、ダーチ墓地: 騎馬民族の遺宝展図録

 

 

 Barbari(ラテン語)に、この場合はイラン語系騎馬民族・サルマタイに、完成度の高い「ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)」が現れた初期の例です。トルコ石と共にガーネットが象嵌されていることも、宝石の産地とサルマタイの交流が読み取れます。そして写真(41)胸飾りと同じ「石留め」の、写真(42)が示すガーネット象嵌技(Hammered cloisonne' setting)は、「ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の武具 ;トルネイ、キルデリクス(482死去)の墓」(参照)に繋がります。宝石・ガーネットをセル(覆輪)の中に石留めしたものを「ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)」と呼んでいますが、ガーネット象嵌技法には「 cloisonne' inlay」と「Hammered cloisonne' setting」があります。メソポタミア文明にBC3,000年代に現れ始めて、BC2,000年代のエジプト文明で発達した「石留め」は、セル(覆輪)の中に瀝青(bitumen)を入れて、ラピスラズリ、トルコ石、カーネリアンなどを接着する方法が中心でした。純度の高い金の薄板で作ったセル(覆輪)は柔らかく、宝石を押し込む力で変形して、はずれなくなります。これが、「 cloisonne' inlay」です。そして、これ以来エジプト文明からギリシャ・ローマ文明までの地中海文化圏では、金銀の線材や薄板を加工して、繊細なロー付けで成型するジュエリ―が作られました。「石留め」はセル(覆輪)が中心で宝石に周りの金属(薄く作った覆輪)をかぶせて固定します。

一方、「Hammered cloisonne' setting」は写真(42)が示すように、厚板や鋳造で作った金属セルに宝石を入れ隔壁の金属を叩いてつぶし、宝石を固定します。見た目には、つぶされた隔壁の金属が目立った、幾何学的な図案が引き立つ製品になります。「表象」が中心テーマの騎馬民族・ジュエリーには最適な石留め技法だと思います。
 

 

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(42)クリミヤジュエリー(Crimean jewellery),ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の作りと 鳥型ブローチ(Fibule aviforme)、4世紀後半~5世紀;The Berthier-Delagarde Collection in British Museum:The British Museum

 

ここで、再び写真(38・b) ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の武具(参照)と(39) 鳥型ブローチ(Fibule aviforme)・エーヌ県   : Les Merovingens Histooire(参照)を見比べて下さい。写真(38・b) キルデリクスの時代には写真(42)クリミヤジュエリー(Crimean jewellery)と同じ石留め技法で作られているのが分かります。隔壁の金属は厚板で幾何学的な図案が引き立っているのが分かります。「優しさ」「美しさ」より厳格な表象表現からくる「権威」を感じます。

 ギルデリクスの子クロヴィスは、486年、ソワソンに侵攻します。そして攻略したソワソンに拠点を移します。(参照)ソワソンは ローマ人の「ソワソン管区」(参照)があった場所であり、その時代に作られた写真(39) の鳥型ブローチ(Fibule aviforme)は騎馬民族・ジュエリーの「Fibule aviforme」を作りながら厳格な「権威」を感じさせません。優しく、ガーネットの赤が美しく輝いています。石留めは同じ「Hammered cloisonne' setting」ですが、造りは地中海文化圏の薄板加工と繊細なロー付けで成型するジュエリ―です。よく見ると厚く見える部分の隔壁は、二枚の薄板が張り合わされているのが確認できます。明らかにローマ人の宝石職人が作ったものだと考えられます。

黒海北岸・サルマタイのジュエリーとキルデリクスの武具・工芸は時間的にも連続します。そこで次回は時間軸と空間を少し広げて、このサルマタイのジュエリーとキルデリクスの武具・工芸のルーツを遡って見ることにします。この流れもより解りやすく展開するはずです。

 

 

 

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 (38・b) ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の武具;トルネイ、キルデリクス(482死去)の墓: Les Merovingens Histooire

 

 

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 (39) 鳥型ブローチ(Fibule aviforme)・エーヌ県   : Les Merovingens Histooire

 

 ライ麦パン  北のルート

 

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 (43)Tourte de seigle ;VIRON:  

 

 ライ麦1100%に天然酵母、イースト菌も少量入っているのでしょうか、ライ麦の風味、食感を楽しめるのに、非常に食べやすいパンです。口に残る塩味が少し気になります。ソワソン管区にクロヴィスが入ったことにより、フランスパンのルーツに遊牧騎馬民族のパンも考えなければならないようです。ライ麦に天然酵母のパンもたべていきますか。

 

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 (31)PAUL;パン・ド・セイグル、パルミエ、アンシャン・ポール(左より)

 

PAULのパン・ド・セイグルは80%のライ麦ですが、ライ麦の食感、歯ごたえがより楽しめます。昔はこの食感に天然酵母の酸味がもっと強かったのでしょうか。「北」を感じさせますが、ライ麦の風味は抑え気味です。

 

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(44)セーグルオーベルニュ;BIGOT

 

ライ麦98%にルヴァン酵母中心、水分多めで中は蒸し焼きのような独特の食感。好みです。でもこのセーグルオーベルニュは「北」を感じさせません。むしろ、アフリカ料理の雑穀レシピのような、ロデヴに近いような気がしました。日本の餅文化にも通じる懐かしさも感じました。

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