形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

フランスパン; ロデヴ(Lodeve)とリール(Lille)・二つのパンの物語(6)

 

フランスパンを作った 文化要因

ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)・3

 サルマタイ  スキタイ

 

ギルデリクスの子クロヴィスが、 ローマ人の「ソワソン管区」(参照) に侵攻(参照)した後、フランク族のガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)は技術的に変化します。フランク族の文化と、ローマ人の文化が融合したことの現れです。これは食文化なども含めて、全ての事に起こったと考えられます。そこでフランク族の、特にサリー・フランク族の文化の源流を探るため、ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の技術と素材を調べます。旧ソワソン管区における変容以前の、トルネイ、キルデリクス(482死去)の墓:から出てきた、ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)の武具に繋がる技術は、黒海北岸・サルマタイの胸飾り(Grande phalere,ornement de poitrail);金、トルコ石、サンゴ、ガーネット、 一世紀後半ウクライナ、ロストス州(ドン河河口、アゾフ湾)、ダーチ墓地に見られました。(参照)更にガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)と同じ技術を探すと、写真 (45)のピアスと写真 (47)ブレスレットが、同じ黒海北岸ウクライナから見つかっています。これはサルマタイ(BC4世紀~2世紀)以前に、この地から中央アジアまでを駆け巡ったイラン語系遊牧民スキタイ(BC8世紀~BC3世紀)に属する装身具です。素材としてガーネットは使用していませんが、キルデリクス(482死去)の墓:から出てきたガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)と同じ、(Hammered cloisonne' setting)の技法が見られます。拡大写真で、厚板で作った隔壁を上部から叩き、ペースト(ガラス)に金を被せた跡がはっきりと見られます。

 

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 (45)ピアス;金、ペースト BC4世紀;ウクライナ、ザポロジェ州、エフカ村古墳:SCYTHIAN GOLD・スキタイ黄金美術展図録

 

 

 

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 (46)拡大

 

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 (47)ブレスレット;青銅、金、七宝、ペースト BC4世紀;ウクライナ、クリム州、オゴンカ村古墳:SCYTHIAN GOLD・スキタイ黄金美術展図録

 

同じようにウクライナから出土した物でも、写真(47)ブレスレットの意匠は明らかにエジプト文明のものです。薄板覆輪だけでなく、パイプから連珠をつくる技法も地中海文化圏の薄板作りです。スキタイはBC7世紀に西アジアを蹂躙して、エジプトに迫り、多数の宝飾品を持ち帰った歴史があります。しかし、エンドの「打ち出し」はライオンであることから、黒海北岸のギリシャ植民都市でギリシャ人の職人によって作られた可能性もあります。特定するには金合金などの精査が必要です。

イラン語系遊牧民スキタイ(BC8世紀~BC3世紀)からさらに、厚板の隔壁を探していくと、アフガニスタン北部に行きつきます。そしてこの地に「厚板の隔壁」と「薄板の隔壁」の境界線をみることになります。

 

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(48)帯状装身具; 金、トルコ石、一世紀第二四半期:アフガニスタン、ティリヤ・テベ(Tillya tepe)遺跡:黄金のアフガニスタン展図録

 

 

 

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(49)垂飾付帯状装身具; 金、トルコ石、一世紀第二四半期:アフガニスタン、ティリヤ・テベ(Tillya tepe)遺跡:黄金のアフガニスタン展図録

 

次回はイラン語系遊牧民スキタイ(BC8世紀~BC3世紀)に繋がる、写真(48),(49)の厚板隔壁象嵌((cloisonne' inlay)について調べます。表象的に盛りだくさんの情報を持つこれらの帯状装身具は、アフガニスタン、ティリヤ・テベ(Tillya tepe)遺跡に眠る民族を明確に指示しています。そしてさらにクロヴィスのガーネット象嵌につかわれた、宝石の産地を示します。

 

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(50)BIGOT  セーグル・ルヴァン;ライ麦70%,ルヴァン酵母のパン、BIGOTのルヴァン酵母はブドウから種おこしをしたもので、本当に穀物の味を楽しめる。日持ちが良いのも嬉しいです。古代ギリシャで使われ始めたルヴァン酵母は、黒海北岸ギリシャ植民都市・ボスポロス王国などから、イラン語系遊牧民にも伝わったのでしょうか?ソワソン管区においては、間違いなくクロヴィスもルヴァン酵母のパンを口にしたはずです。当時のセーグル・ルヴァンはどんな味がしたのでしょうか?

 

 

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