フランスパンを作った 文化要因 表象表現 ハート形
コーカサス(カフカス)のハート形
(87)青銅製バックル(Belt-clasp) BC9~8世紀;北オセチア大学付属考古学博物館
秘宝・草原のシルクロード 並河萬里写真集
(88)青銅製ピン 約BC1,000年;Caucasasu(コーカサス)、Upper Koban墓地
PRIMITIVE AND FOLK JEWELRY Dover
(89)青銅製ピン 約BC1,000年;Caucasasu(コーカサス)、Upper Koban墓地
PRIMITIVE AND FOLK JEWELRY Dover
(90)青銅製ピン 約BC1,000年;Caucasasu(コーカサス)、Upper Koban墓地
PRIMITIVE AND FOLK JEWELRY Dover
(91)青銅製Ornamental pieces;ハンガリー
一般にコーカサス地方における、BC4,000年を過ぎた頃からの銅器・青銅器文化は、コーカサス山脈北のヤムナ文化(BC3,600~2,300年)、南の黒海東岸と南岸、更にアルメニアやアナトリアの東北部のマイコープ文化(BC3,700~2,500年)、そして山岳地のクロ・アラクセス文化(BC3,400~2,000年)に細分化して説明されています。しかし、コーカサス山脈・南北に石塔が見られるように、黒海沿岸とコーカサス山脈・南北の青銅器が示す表象は、すべて連動しています。そしてその連動を引き起こした要因として「黒海大洪水・淡水湖だった黒海が、海水面の上昇により地中海とつながり海になった、BC5,600年頃)を考える他ありません。
写真(87)青銅製バックルのハート文様は、写真(20)ミノア文明に現れた「Silphum」の「生命の樹」です。更に、写真 (88)青銅製ピンには4つのハート形が見られます。この青銅製ピンに見られる十字形に並んだ「イチョウの葉」のような表象は、写真(89)・ (90)の青銅製ピンが説明してくれます。これらは、「豊饒の大地」の表象で、「イチョウの葉」のような表象は「大地」を表します。Caucasasu(コーカサス)地方に現れた豊饒の表象は、まず何よりも、野ブドウやイチョウ、月桂樹、ナツメヤシなど雄雌異株の受粉を助ける「鳥精霊」になります。しかし、はたして、ハンガリーの地に現れた「鳥女神」とCaucasasu(コーカサス)地方の「鳥精霊」は同じルーツなのでしょうか?
(20)ミノア文明、ミケーネ文明、石刃(石包丁)・形而下の石スケッチ(和久譲治)
(A)ミノア文明はキクラデス文明に置き換えるべきでしょう。
(4)飾り瓢;ウズベキスタン
(4)飾り瓢;ウズベキスタン(拡大)
(92)鉄芯青銅柄剣 BC2,000年記後半~BC1,000年記前半;北西イラン
中近東文化センター・古代イラン秘宝展図録
さらにハート形の表象は、写真(91)青銅製Ornamental piecesや写真 (92)鉄芯青銅柄剣のようにドナウ川沿いとイラン北西部に広がっています。そこでミノア文明からCaucasasu(コーカサス)地方や黒海沿岸への経路を調べてみましたが、マリヤ・ギンブタス女史が収集した古ヨーロッッパでは、イタリア、ギリシャ北のヨーロッッパには見られず、ドナウ川流域の青銅器のみに現れます。さらに、有力だと思っていたアナトリアの青銅器時代にもハート形の表象は見られないのです。そして青銅器以外の表象を調べている中で、アナトリアの織紋様にハート形・写真(93) Devil's Claw(悪魔の爪)をやっと見つけました。Devil's Claw(悪魔の爪)です。アナトリアではこれまで何度か見てきたように、「壺を持つ地母神」や「チューリップの女神」、「コピットグラスの神」など、多産・豊穣を壺〈子宮)に表象することが強く表れています。この壺〈子宮)はイランではアナヒーター女神が持ち、さらに観音菩薩が持っています。いずれも多産・豊穣の生殖表象です。アナトリアでハート形は、「中絶」や「避妊」の悪いイメージがあるように思えます。ミノア文明とCaucasasu(コーカサス)地方を繋ぐ「ハートの道」は、ドナウ川流域に関係しているようです。
(93)織紋様 Devil's Claw(悪魔の爪)、アナトリア中部
TRIBAL & VILLAGE RUGS Thames & Hudson
(94)女神型壺 BC5,250~5,000年 ハジュラル遺跡出土;遥かなるイスタンブール 大トルコ展図録