Roundhouse(Basket house)とNuraghe(ヌラーゲ)
ずっと前から解らない、しかもすごく気になる遺跡がサルデーニャ島にありました。Nuraghe(ヌラーゲ)と言う円筒形の石積み建造物です。ズールーの概念が一万年以前の北アフリカで生まれ、表象造形物を形作って行ったことを理解するようになり、やっと解釈の糸口を見つけました。インドへの伝播を見る前に整理することにします。
(18)Nuraghe(ヌラーゲ)・Sardinia(サルデーニャ);地中海の聖なる島サルデーニャ 山川出版社
石の構造物ですが、「編み籠」や「土器」のように「巻き上げ式」で作られています。「渦巻」のように巻き上げていく技法には、共通する「概念」が流れていると思います。
(19)Su Nuraxi di Barumini(スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ)ヌラーゲ複合体
地中海の聖なる島サルデーニャ 山川出版社
(20)Su Nuraxi di Barumini(スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ)ヌラーゲ複合体
The WORLD HERITAGE
(21)スー・ヌラージの復元予想図;地中海の聖なる島サルデーニャ 山川出版社
(22)サルデーニャ,アルゲーロ近郊羊飼いの小屋
地中海の聖なる島サルデーニャ 山川出版社
「ズールーの概念」の表象であるバスケットハウス(植物素材を用い、円筒形と円錐形の組合せまたは丸いドーム型に編み上げた住居)は、積み重なる「円環」と相似形に増殖する円筒形と円錐形の原理を表象しながら「発展」していきます。積み重なる「円環」を「高床式」の「円形列柱」に表現した住居や倉庫、そして、相似形の円筒(円環を積み上げた形)を増殖させたような住居や倉庫です。
(23)Togo(トーゴ)、Kutamaku(クタマク);塔(Takienta)を持つ泥の家(Katammariba) WIkipedia
(24)Togo(トーゴ)、Kutamaku(クタマク);塔(Takienta)を持つ泥の家(Katammariba): Unesco.org
ブルキナファソの南隣、 Togo(トーゴ)、Kutamaku(クタマク)地域の住居、塔・タキヤンタ(Takienta)を持つ泥の家(Katammariba)はその後者の良い例です。円筒部分は植物素材を編み上げて、その上から泥を塗ったように多層に、「円環」を積み重ねた様に見えます。そして円筒を増殖させるように、「ズールーの概念」を守りつつ空間をひろげています。儀式の空間、先祖の場に加え、穀物庫が作られているようです。
Sardinia(サルデーニャ)島の、写真 (18)Nuraghe(ヌラーゲ)は写真(22)サルデーニャ,アルゲーロ近郊羊飼いの小屋に見るように、植物素材で編み上げた円錐形の屋根部分が乗っていたと思われます。円筒形の部分は、サルデーニャ島で手に入りやすい「石積み」になっていますが、形態は同じ概念を表しています。「石を円形に積み重ねる」は「植物を円形に編む」と同じ「円環」を重ねてズールーの概念を表象する表現になった事が解ります。そして、興味深いのは、石なのに、植物素材や土器の様に「巻き上げ式」に石積みされていることです。明らかに「編む文化」の影響を受けています。
そして、写真(19)Su Nuraxi di Barumini(スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ)ヌラーゲ複合体になると、Togo(トーゴ)、Kutamaku(クタマク);塔(Takienta)を持つ泥の家(Katammariba)と同じ概念で創られたことが良く解ります。写真(21)スー・ヌラージの復元予想図の円筒形の塔には円錐形の屋根をのせるべきです。そうっすると塔・(Takienta)が完成します。「タキヤンタ(Takienta)」は「積み重なる円環」を表す「聖なる表象建造物」なのです。後世、色々な宗教の建造物(砦を含む)が、呼名こそ違え、「タキヤンタ(Takienta)」を「聖なる塔」として引き継いでいったことは、今に残る多くの建築から容易に理解されるところです。