形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と編む文化(13) ・土器の文化(5)・石の文化(1)

   

                                                  文様の誕生(7)

 

                              Koros-Cris-Cultureと縄文草創期のの文様

                                平衡の王女の顕現・雨の王女、そして「雨」の概念

 

 「文様」とは「ある社会共同体の概念に於いて、価値あるものとして、継続的に用いられる図案」だと考えます。人類が「文様」を持つためには、哲学的な「概念」を持つ必要があります。

「Koros Culture」や縄文土器草創期に現れた「雲」、「雨」といった土器文様は変容を繰り返しながら、長く現代にまで続くことになります。そこでは、すべての事に、特に大地と気候に「平衡・バランス」を願う人々の思いが「平衡の王女」に現実の姿を与えます。そして彼女の顕現である「雲」や「雨」、「虹」は聖なる表象として文様化され、長い間続いていた「石の文化」、「編む文化」に現れます。

 

 

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 (78)石製平衡の王女(三本線,ドット、ジグザグ)土器の文化以前

       Me'htelek,Koros Culture,Hungary.: Me'htelek Nandor Kalicz著

 

 

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(79)石に線刻された女神像、上黒岩遺跡愛媛県

  縄文出来ガイドブック

 

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(80)石に線刻された女神像、上黒岩遺跡愛媛県

  Wikipedia

 

日本でも上黒岩遺跡から一万二千年前の土器(細隆起線土器)と共に発掘された写真(82)、石に線刻された女神像があります。「女神」を表す乳房に「雨」を表す垂下する細線が見られます。「Koros Culture」では写真 (78)石製平衡の王女(三本線,ドット、ジグザグ)の様に、数多くの線刻された「平衡の王女像」が見つかっています。これだけ色々な表現があるのは、「平衡の王女」は色々なものに顕現して遍在する「概念」であることによると考えます。

 

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(81)石に線刻された女神像、上黒岩遺跡愛媛県

   縄文人の世界

 

写真(79)同様に上黒岩遺跡で見つかった女神像は、垂加する「雨」を髪に見立て、腰のあたりには細かいジグザグ線が横走して「雲」を表しています。連続する、少し後の「土器の文化」になりますが、写真(83)の26、Koros Cultureの「平衡の王女」は上黒岩遺跡の「石製二つの女神」の表象を併せ持ちます。

垂下する細線、乳房、そしてジグザグ線です。

 

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(82)の26、テラコッタ平衡の王女

   Me'htelek,Koros Culture,Hungary.: Me'htelek Nandor Kalicz著

 

 

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 (83)テラコッタ平衡の王女(水平線、垂下線、斜線、三角)土器の文化

  Me'htelek,Koros Culture,Hungary.: Me'htelek Nandor Kalicz著

 

「平衡の王女」を顕現させるための「女神像」、「土器の文化」の初期は「石の文化」の形と「文様」を引き継いでいる事が解ります。そして「土」だから表現できる立体的な「女神像」が生まれる兆しが伺えます。

 

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(84)テラコッタ平衡の王女(立体表現、水平ポーズ)土器の文化

  Me'htelek,Koros Culture,Hungary.: Me'htelek Nandor Kalicz著

 

 「土」(テラコッタ)ならではの表現が始まります。

 

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(85)Me'htelek遺跡発掘レポートメモ,Janos Makkay

      Koros Culture,Hungary

 

当然「Koros Culture」でも初期の土器には、「編む文化」によって幾何学的になった「雲」(雷文)が現れています。日本の縄文草創期と同じ展開です。

 

日本の縄文土器草創期や「Koros Culture」の土器文様に具象的な「雲」や「雨」、そして幾何学的なジグザグや雷文がみられるのは、「編目・Knots]表現となる「編む文化」と、「概念」をそのまま刻む表現となる「石の文化」が同時に進行していたためだったのです。「土器の文化」は「編む文化」と「石の文化」の文様を引き継いでいます。ただし、忘れてはいけないことは、「社会共同体にとって価値ある概念の表象」となっているいる事実です。私達は原義を探り、社会共同体にとっての価値が何であったのかを、常に考えなければいけません。現代の様に、装飾のための装飾は存在しないからです。古代の装飾は装飾史としてではなく、「装飾の文化史」として考えなければいけないと考えます。

それにしても写真 (78)~(83)までを見ると、「石の文化」で線刻していたものが、「土」で立体的になっていくさまが良く解ります。最後の方では「Cucuteni-Trypilian Culture」に繋がる「両手を広げたポーズ」まで見られます。いろいろな文化・文明を時間や場所の「」で括ることの間違いが良く解ります。すべては繋がり、連続しています。このことを「Koros Culture」の発掘品は教えてくれます。

「Koros Culture」と縄文草創期の「文様」の現れ方が非常に酷似していることは、文様黎明期の世界が深くつながっていたことの証明です。広い視野で世界を見ようと思います。 

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