形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と貝の文化(12)

          

          「二枚貝」と「貝殻文・貝の押圧文」

 

 

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(42)二枚貝の表象と変容;和久ノート

 

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(43)Cardiiae cokle(ザルガイ科);wikipedia

 

長いプロローグでしたので皆さまはもうお気づきでしょうが、写真(42)のように「二枚貝」は「雨による平衡の概念」のすべての表象を持っています。

そしてヨーロッパではBC6,400~BC5,500年頃、南仏から地中海に広がった「Cardium pottery culture」の領域に「二枚貝(Cardiiae cokle)」の「貝殻文・貝の押圧文」が現れます。もともと「上部(後期)マグダレニアン(Supe'rieur Magdale'nienne)]文化の部族であったこの地域の海洋民の持つ「雨による平衡の概念」が、「二枚貝」と結びついたのはいたって自然なことだと考えます。

 

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(44)Cardium pottery culture;wikipedia

 

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(45)Impressed ware,Cardium pottery;Research Gate

 

日本においては「貝殻文・貝の押圧文」は南九州や関東から東北の太平洋岸、北海道に縄文早期前半(BC8,000~BC6,500年頃)に現れたとされています。ヨーロッパと日本の「貝殻文・貝の押圧文」に関しては絶対的な年代をさらに詳しく調べる必要があると思っています。何故なら「Cardium pottery 」では「ザルガイ」から「ホタテ貝」に変化し、日本でも「ザルボウ」、「アカガイ」から「ホタテ貝」に変化しているのです。つまり「耳(ear of shell)なし」から「三角の大きな耳」への変化です。さらに北海道では「暁式土器」以前に土器に「雨」の表象「刺突文」や「爪形文」が現れ、「暁式土器」では「貝殻文・貝の押圧文」以前に、土器に植物質による「条痕」が現れています。南仏では「刺突文(点々)」や「爪形文」、「条痕(雨)」は洞窟壁画に描かれています。南仏で洞窟壁画に描かれた「雨」が、日本では土器の表象になったと考えるのが自然です。こう考えると、ヨーロッパと日本で表象の変容は同じ展開をしているのです。表象の伝播を考えるべきです。そして、やはり「土器」は東アジアで生まれています。

 

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(45)アカガイ;貝の図鑑

 

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(46)ザルボウガイ;貝の図鑑

 

南仏で生まれた「雨による平衡の概念」と東アジアで生まれた「土器」が組み合わされて「貝殻文・貝の押圧文」は生まれたと考えます。「土器」の発達が遅れた南仏で生まれた「概念」の伝播経路と、東アジアで生まれた「土器」の伝播経路が、どこでどう出会ったのか、ぜひ知りたいところです。北海道には気になる洞窟彫刻もあります。それは、「手宮洞窟」です。今までの表象・「雨による平衡」の流れから皆様もお気づきでしょうか。ヨロッパではハンガリー、ルーマニアの「Ko"ro"s-Cris-culture」で「雨による平衡の概念」と「土器」が出会っています。

いずれにしても、「巻貝」は「胎児の産道通過の回旋」やオーカー(赤)と結びつき、「生命の誕生」を表し、「二枚貝」は「雨による平衡(ホウジョウ)」と結びつきさらに「雨による平衡の女神(ズールーの創世神話に取り入れられて「平衡の王女」となる)」の顕現になります。「巻貝」とオーカー(赤)は「多産」、「安産」にも変容し、「二枚貝」は「女神」、「王女」から「権威」とも結びつきます。「貝の文化」はこの「巻貝」と「二枚貝」の持つ「概念」が様々に変容し、組み合わされて今日まで続いています。「サンティアゴ・デ・コンボステーラ」は、今日も「ヨーロッパホタテの道」であり続けています。写真(22)「マグダレニアン(Magdale'nienne)]文化」の領域はフランス内陸部からサンティアゴ・デ・コンボステーラヘの、基本的な三本の巡礼路をなぞります。北西ヨーロッパの大西洋沿岸に生息する大きな「ヨーロッパホタテ」には「great scallop」、「king scallop」、「St james shell」など王や聖人の名前が付けられています。また、同種の少し小さい「Aequipecten opercularis」には「queen scallop(英国王室が領有するマン島が有名)」の名前がついています。王や宗教がその伝承を引き継いだように、ヨーロッパの人々にとって「ホタテ」の意味するところの深さが伺えます。

 

 

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(22)「マグダレニアン( Magdale'nienne) 文化」の領域;Wikipedia

 

 

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(47)サンティアゴ・デ・コンボステーラヘの巡礼路;Wikipedia

 

 

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(48)ヨーロッパホタテ(Pectenn Maxmus);貝類図鑑

 

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(49)Queen scallop;Bord lascaigh Mhara

 

 

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(49)地中海ホタテ(Pecten Jacobaeus);貝類図鑑

 

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(102)ホタテ貝押圧文、暁式土器、縄文早期前半期、帯広市八千代A遺跡

  帯広百年記念館・縄文土器ギャラ

 

 JEWELRY MAKING 「 shells 」

洋彫り「shell cut]

ワクジュエリーメイキングのブランド「プティコリエ」には色々な洋彫りのカットが施してあります。最終的に作品の雰囲気を決定する効果があります。「ホタテ貝」のアクセサリーを作ったとき、新しく考えたのが「shell cut]です。貝殻の反射光をイメージして考案しまし、。太さの違う三本の「round graver(洋彫りタガネ・丸)」を組み合わせて彫っています。一番深いカットの中心を、カット幅のセンターからずらすことがポイントです。いいカットだと思いますので、お気に入りの方はぜひお試しください。

他のカットもこれからご紹介します。「和彫り鏨」でも彫れると思います。

 

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(50)コキィ―ユサンジャック;シルバー、白蝶貝、パリ・ビンテェージガラス;プティコリエ

 

 

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(51)プティコキィ―ユ;プティコリエ

 

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(52)shell cut

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                 

 

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