「イシュタル」の表象(3)
特別編:北海道「手宮洞窟」、「フゴッペ洞窟」の彫刻に刻まれた「イシュタル」
(109)「手宮洞」、「フゴッペ洞窟」の彫刻・和久ノート(修正・お釈迦様ポーズ)
北海道余市町「フゴッペ洞窟彫刻」には「有翼の女神・イシュタル」が刻まれています。また小樽市「手宮洞窟」にも「フゴッペ洞窟」と同じ「平衡」の表象「Cheveron」の人形が刻まれています。南仏のマグダレニアン文化期に生み出された「雨による平衡」の「平衡」の概念を表象する「Cheveron」については何度も書いてきました。(参照)
(41)「V]による「平衡の王女」の変容1 Switzerland,2 ・3 Denmark,4 Germany,5
Romania,6 Moldavia,7 Crete,8 Italy
THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas
「雨による平衡」の概念はやがて「雨による平衡の女神」を生み、平衡の表象・「Cheveron」の人形は伝播していきます。北海道に刻まれた人形は、写真5 Romania,6 Moldaviaによく似ています。また写真(109)Bの「お釈迦さまポーズ」はHungaryの「ko"ro"s culture」に現れた「雨による平衡の女神」に似ています。写真(66)Bulgariaの[Karanovo culture」では「二本線」の「平衡」、「三本線」の「水」、「平衡cheveron・V」と肩の「雨」と組み合せて、より具体的に概念を表象しています。
(61)豆粒文、ギザギザ・垂下・貼付隆線文、平衡の王女・貼付隆線文土器
ko"ro"s culture,Hungary;BC5,500~BC5,400?
The Language of GODDESS
(66)雨による平衡の女神(ズールーの概念では王女);1,2,Karanovo culture,Bulgaria,c.BC5,800.
3,Ozieri culture,Sardinia,c.BC4,000~BC3,800.4,Venedian culture,Poland
The Language of GODDESS Marija Gimbutas
写真(109)Dの「▽」は写真(34)の「二枚貝の女神」(参照)から来ていると考えます。また写真(34)には「雨」を表す「手」の表象があります。「手宮洞窟」の「手」は「雨」の意味になります。
こうしてみると北海道「手宮洞窟」、「フゴッペ洞窟」の彫刻は、これまで見てきたバルカン半島とその北部と深くつながっている事が解ります。
(34)Hungary(ハンガリー)土器文様;BC5,000年頃
THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas
写真(109)Cの左は、バルカン半島に現れたコーカサス地方の部族が持ってきた表象でした。(参照)
真ん中と右は バルカン半島に現れていません。コーカサス地方部族の「Varna culture」の表象が見られる「Magurata cave」を見ても描かれていません。「Varna culture」は,プロト・インドヨーロッパ語族の「Cernavoda culture」がバルカン半島に現れるBC4,100年頃まで続きます。
この二つはコーカサス地方で変容したものと考えられます。コーカサス地方で生まれた「女神ニケ」のような,「有翼の女神」のルーツでもある「有翼のイシュタル」はコーカサス地方で生み出されていました。
その「有翼のイシュタル」が、マグダレニアン文化期に生み出された「Cheveron」の人形と共に刻まれた遺跡は、世界で北海道余市町の「フゴッペ洞窟」だけです。北海道「手宮洞窟」、「フゴッペ洞窟」の彫刻は世界遺産に登録、保護されるべきだと考えます。
( 「手宮洞窟」の「手」は表象的に「水(雨)」ですが、「フゴッペ洞窟」の「フゴッペ」は言語的に難解のようです。「岬」、「波」や「川」に関係づけられているようです。やはり「水(雨)」を念頭において考察すべきだと考えています。)
(79)女神ポーズの強制;painted on the wall of Magurata cave (NW.Bulugaria)
THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas(参照)