黒海北岸 スキタイ(scythians)、サルマタイ(sarmatians)の杖
古ノルド語の「valva」は「杖を運ぶもの」,「魔法の杖を運ぶもの」の意味があり、「valva」の別名は「多くを知るもの」を意味します。古ノルド語への分流を遡れば「ゲルマン祖語」に、さらに遡れば「インド・ヨーロッパ祖語」に至ります。「インド・ヨーロッパ祖語」では、 古ノルド語の「預言」は「見ること、観察すること」の意味であったそうです。逆に「ゲルマン祖語」の分流「古英語」では「valva」の変化した言葉が「預言者、予言する者」に変化しています。これらを観察すると「見ること、観察すること」、「多くを知るもの」から「預言者、予言する者」への変化が観られます。(参照)
そして、「インド・ヨーロッパ祖語」の生まれた土地と考えられている黒海北岸の住人であった、「スキタイ」、の遺物には、多くの「真鍮製竿頭飾」が見つかっています。
「サルマタイ」の遺物には「真鍮製杖」そのものが、見つかっています。さらに、「真鍮製竿頭飾」に現れる動物はみな、イシュタルのシンボルか聖獣です。
「杖」と「見ること、観察すること」、「黒海北岸」には「イシュタルの杖(バトン)」の秘密が隠されているようです。
(1)真鍮製竿頭飾(スキタイ)、紀元前5~6世紀、L'Or des Amazones PARIS musees
このイシュタルのシンボルか聖獣の付いた「スキタイ」、「サルマタイ」の「竿頭飾」を見たとき、直感的に、以前にも紹介した「一万年の旅路・翔泳社」を思い出しました。ネイティブ・アメリカンの「イロコイ族」に伝わる口承史です。2万年前に脱アフリカをして、シルクロードに近いコースで東アジアに至り、太平洋岸に定住します。長く定住したその地を、地殻変動により離れ、沈みかけていたベーリング海峡(1,0100年前頃)を渡りアメリカ大陸に至ります。この興味深い口承史の中に、深く記憶に残る「雪の冠」という老女と、彼女に付き従い学び、老いた「雪の冠」の後を継いで、ベーリング海峡の渡りを先導する「知恵の娘」です。「雪の冠」は部族から少し離れた場所にいて、客観的に部族の動向や話し合いを見ています。話し合いがまとまらず、助言を求められると、静かに語り始めます。「古の知恵よ・・・」、「私は見た・・・」、「私は考えていました・・」、何代も積み重ねてきた知恵と観察して考えた知識により、一族が、大自然の中生き延びる道を示すのです。
(2)真鍮製竿頭飾(スキタイ)、紀元前5世紀頃、SCYTHIAN GOLD
Museum of Historic Treasures of Ukraina
(3)真鍮製竿頭飾(スキタイ)、紀元前5~6世紀、L'Or des Amazones PARIS musees
(4)真鍮製竿頭飾(スキタイ)、紀元前6世紀、L'Or des Amazones PARIS musees
(5)真鍮製パパイオス神竿頭飾(スキタイ)、紀元前5世紀頃、SCYTHIAN GOLD
Museum of Historic Treasures of Ukraina
(6)真鍮製杖(サルマタイ)、紀元前1世紀頃、L'Or des Amazones PARIS musees