形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

From Caucasus region and Northern iran コーカサス地方より(2)

 
コーカサス地方とパンのルーツ

 

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 (1)古代風イランのパン;パンの研究 越後和義・柴田書店

 

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(2))(3)ETORURIAパテラ(拡大);;有翼円盤と拝火の儀式

 

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 (3)ETORURIAパテラ 銀、鍍金;パレストリーナ、コロンベッラ墓地、ベルナルディーニの墓、イタリア(BC7世紀第一四半期

 

 何度も取り上げてきた、コーカサス地方の情景を映すエトルリアの「パテラ」です。写真(2)の「大地の豊饒と安寧」を祈願する「拝火の儀式」で、供物台に捧げられている「大きく丸い物」について、考えてきました。その中で「大地の豊饒」を表し、神に供える「鏡餅」に繋がる「観念」の共通性が、いつも気になっていました。「餅」の形状が「大地」、「石包丁」を表すことから、パンも同じであることに気付き、さらに「米」と「小麦」の関係性も解ってきました。日本の弥生時代についても、「小麦」の伝播を水稲作と併せて考えると、非常に解り易いことに気付いたのです。日本の事を、日本の歴史だけで考えていては、本質が見えなくなりjます。コーカサス地方原産の「小麦」と「パン」の伝播は、その他の文化の伝播と重なります。この「豊饒の大地」を表す「パテラ」は、イタリアで作られた「平らで丸いパン」、すなわちエトルリアの「フィカッチヤ」に繋がり、さらに「ピザ」のルーツにもなっていたのです。コーカサス地方から広がる「観念」、「豊饒の大地の表象」は「小麦」と「米」に同じような連続性が認められます。

 写真(1)の「タフツーン」には、二つの形状があります。小石の上で焼く、一番古い手焼き製法である「サンギャーギ」と同じ形状の最後の「タフツーン」は、「サンギャーギ」より進歩して、パン焼き窯「タンドール」で焼かれています。しかし同じ形状です。それは、これらのパンが、羊肉など他の食材を包んで食す、共通の食べ方の為でしょう。そう考えると、「大きく丸いタフツーン」は「鏡餅」と同じ「観念」のパンではないでしょうか。つまり、「拝火の儀式」で供物台に捧げられた、「豊饒の大地」を表すパンだと考えられます。

余談; [ナン」中でもいちばん薄い、「タフツーン」を食べてみたいのですが、東京の「イラン料理店」で「タフツーン」を食べられるレストランがあれば、教えて下さい。

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