形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と編む文化(13) ・土器の文化(2)

 

                              文様の誕生(4)

 

             縄文土器草創期とKoros-Cris-Cultureの土器の文様

        Magdalenian cultureの文様

 

 

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(68) Hungary  Face-pot;The origins of the First Farmers angelfire.com

 

 「ko"ro"s culture」の土器写真がほとんど見つからない中なか、ドイツ版「Donan-Archaologie]に「ko"ro"s culture」の土器装飾についての記述があります。

「Decoration is incised or applied .We can find surface roughening ,finger nail imprints and pinches,"ear"impressions,applied bands(often structured by finger dabs) arranged in zigzags ,circle or lines,applied clay buttons,et cetera」

そして縄文草創期の土器装飾は次の通りです。現れた順番に、豆粒文、隆線文、爪形文、押圧/回転縄文です。

 

「applied clay buttons」は「豆粒文」です。「豆粒文」は「水玉」と同じ、「雨」を表していると考えます。

 

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(62)豆粒文土器;長崎県泉福寺洞穴出土

縄文草創期(約一万年前まで?)

       縄文土器の知識

 

「applied bands」は「隆線文」です。写真(63)には「押潰し隆線文」すなわち、「structured by finger dabs」になり、横走して「雲」、垂下して「雨」を表象しています。

 

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(63)押潰し隆線文土器;長崎県泉福寺洞穴出土

縄文草創期(約一万年前まで?)

   縄文土器の知識

 

「finger nail imprints and pinches,"ear"impressions」は「爪形文」になり、「雨」の表象です。

 

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(64)爪形文土器;青森県鴨平(2)遺跡出土

  縄文土器の知識

 

特に土器装飾にも珍しい「applied clay buttons」と「豆粒文」の、直接的な「雨」の表現は、縄文草創期の「土器」のみに現れた特殊なものだと思います。同じ時代でも「雨」の表象は、写真(68) Hungary  Face-potに見られる「刺突文」や「三本線」が一般的なものです。「刺突文」は縄文草創期の「土器」、特に「土偶」に現れます。「三本線」はヨーロッパでとくによく使われた「雨」の表象で、写真(66)平衡の王女の(2)に見られるように、体に「三本線」を刻むか、「三本の指」で表します。「平衡の王女の顕現」である、跳ねて雲を呼ぶ「バセンジー犬」も「三本の指」で表します。日本にも「三本の指」のカラスがいますね。写真(65)「平衡の王女・貼付隆線文土器;山梨県、鋳物師屋遺跡出土:縄文中期 縄文土偶ガイドブック」(参照)も良く見て下さい、「三本の指」をしています。現代女性が「三本の指」をつくのは、「平衡の王女」がどのように変容したのでしょうか、長い歴史は「古代の意味」をこんなにも変容してしまうものなのです。

 

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(61)豆粒文、ギザギザ・垂下・貼付隆線文、平衡の王女・貼付隆線文土器

 ko"ro"s culture,Hungary;BC5,500~BC5,400?

 The Language of GODDESS

 

 

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(66)平衡の王女;1,2,Karanovo culture,Bulgaria,c.BC5,800.

        3,Ozieri culture,Sardinia,c.BC4,000~BC3,800.4,Venedian culture,Poland

        The Language of GODDESS  Marija Gimbutas

 

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(69)動物の骨に刻まれた「平衡の王女」;体上から、「バセンジー犬」のしっぽ形、三本線、点線、斜線、いずれも「雨」の表象、写真(66)参照

Solutre' culture消滅後のMagdalenian culture(BC12,000年代~BC9,500)、france

The Language of GODDESS  Marija Gimbutas

 

 写真(69)動物の骨に刻まれた「平衡の王女」は四種類の「雨」の表象を持つ、極めて初期の「平衡の王女」だと考えます。ズールーの概念」を持つ部族は北アフリカから氷結したジブラルタル海峡を渡り北上しています。そして、南フランスでの「ソリュート文化」から「マグダレニアン文化」への突然の移行、「ソリュート文化」の突然の消滅が、「平衡の王女」の誕生、すなわち「ズールーの概念」の誕生を説明します。このことは後ほど「仮説」をのべることになります。その意味でも写真(69)動物の骨に刻まれた「平衡の王女・雨の王女(顕現)」は、非常に貴重な資料だと思います。

また初期の「土器文化」を持った「ko"ro"s culture」と「縄文草創期」、そして「Magdalenian culture」に、初期の「平衡の王女・雨の王女(顕現)」が現れることは、これらの文化編年を考える上で、重要なことだと思います。

 

 

 

 

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