形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(7) 文化服装学院 ファッション工芸科・文化史授業 ノート(5)

 

                                       

               文様の誕生

 

     演習・黎明期の基本的な文様とその概念を用いたイラスト

              「平衡の王女」

 

 

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リ ヒョウコウ

 

「円環」のチェーンから「垂下する雲」・「雨の文様」に吊るされた王女を表す「編み文様の三角」と「編み文様の円環」を挟む「半分の太陽」と「半分の水玉の虹」。

「半分の太陽」と「半分の水玉の虹」は「バランスの王女」、すなわち「平衡の王女」を表す。ただしこの表象はBC4,000年頃から見られる、新しい表象です。上部「矢羽文様」は「矢のように激しい雨」、王女を表す「三角」は半分は「斜線・雨」、半分は「ハレ」を表現しています。

 

 

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孔 令謙健

 

ネイティブアメリカンの「メディスンホイール」をその原義である「タルタリアの粘土板」と重ねて表現しています。卍は「四つの空間」を表すので、同じ意味の文様です。卍を満たす文様は「大地」、「雲」、「雨」、そして新しいネイティブアメリカンの表象も描かれています。

 

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大音幸枝

 

「平衡の王女」を「半分の太陽」と「半分の雨」で表す「岩絵」が印象に残ったようです。これはBC4,000年頃からの表現ですが、「半分の雨」に「虹」を加え、バランス良くまとまっています。「虹」は「激しい雨」とセットになり「平衡の王女」を表します。「雲」と「雨の文様を持つ三角」の組み合わせも描かれています。

 

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富田真歩

 

「王女」の「三角」は「水玉」と「雲」で満たされ、まるでデコレーションケーキのようです。円環の重なりを表現した「玉」から伸びる脚は、「雨」の文様を持つ「王女のボディライン」を表現しています。脚付は「聖なるもの」の大切な表象になります。「レース柄のグラス」の原義をよく表しています。左上「丸」、「十字」、「雨」のまとまりは「花笠踊り」の笠などと同じ表象になっています。

 

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内田紗百合

 

右上、縄文土器に見られる「豚鼻」のような表象は「平衡の王女」を表します。「水玉」を「雨」の輪郭でまとめ、体は「タルタリアの粘土板」に見られる「女」のシンボルになっています。左上、「大地」に遍在する「雨の王女」を「三角」にまとめ、「水玉」、「雲」と「激しい雨」が頭になっている。下、左上と同じ表象が立体の「王女像」で表現されています。

 

北アフリカで生まれた「ズールーの概念」である「平衡の王女」は自然界のバランス(平穏)を願う人々の思いが、社会共同体の概念として、物や自然現象に顕現した姿です。社会共同体ごとに数多くの「文様」や表象が現れるため、その時間軸を正確に理解するのは大変だと思います。しかし、よくまとまった楽しいイラストが提出されました。、「文様」をその「原義」と共に、デザインに利用することを楽しんで頂けたと思います。ここに現れた「イマジネーション」を、さらに自由に広げて下さい。

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