形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(8)ズールーの概念と編む文化(16) ・土器の文化(8)・石の文化(3)

                

    アイヌ「 黒い神」と縄文遺跡「犬の埋葬」そして「Koros culture]

       

 

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(91)八咫烏・YATAGARASU;wikipedia commons

 

「イオマンテの祭壇」の神は「黒い顔の神」でした。(参照)そして、「アイヌとデジタル図鑑」によれば、アイヌ語で「黒い神」(黒・神)は「kunne-kamuy]で、「烏の神」(カラス・神)は「paskur-kamuy]となります。「イオマンテの祭壇」と両語から見えてくるのは、カラスは「黒」故に「神性」を持つことです。「烏天狗」など、カラスと「神性」の結びつきはここに始まっていたようです。「八咫烏」は神性を持つカラスの象徴的なものですが、その特徴は「三本足」・「三本指」にあります。ではなぜ「三本足」・「三本指」なのでしょうか?

縄文時代草創期以前から「神性」を持っていた動物は他にもいました。(参照)1

 (参照)2

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(115)神話の犬;Cucuteni-Trypilian culture(BC6,000~BC3,500年紀)

   モルドバ、ヴァルヴァロフカ

   古ヨーロッパの神々 マリア・ギンブタス

 

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(112)Cucuteni- culture(ルーマニア)・壺の文様 BC5,500年頃

   古ヨーロッパの神々 マリア・ギンブタス

 

 Donan-Archaeologie・ドイツ版「The Koros culture]によれば、「J.Makkyが1992年に発掘した123~124pitsは住居用のピットとは違い、儀礼的なものが埋まっていた。」そうです。内容物は次のとうりです。

「vessels,snails,parts of dog skulis,lamps,weights]

[vessels]陶器は、「雲」や「雨」の文様が描かれて「平衡の王女の顕現」です。

「weights]は、「重り」と解釈されていますが、Koros cultureだけでなく日本の縄文時代にも住居内から発見される「土玉」(参照)です。土の球体は水滴を表し、すなわち「平衡の王女の顕現」です。

「lamps,]ランプは、日本で「香炉形土器」や「釣手土器」と言われ、八ヶ岳山麓で見つかっている、「雲」、「雨」、「平衡の王女の顔」などが立体的に表現された物と同じ「平衡の王女の顕現」です。

「snails」カタツムリは地中海世界文化圏の巻貝の代用品だと思います。「巻貝」はブレスレッドに加工して「円環」を表します。渦巻きは「円環」の成長を表象します。成長する「円環」の中に住まうカタツムリも「平衡の王女の顕現」なのでしょうか。

そうなのです、この特殊なpitsの内容物は「平衡の王女の顕現」物でした。

そしてその中に「parts of dog skulis]犬があります。ハンガリーの「Koros culture」は千葉県加曾利貝塚や宮城県北小松遺跡など多くの縄文遺跡で見つかっている「犬の埋葬」と繋がっています。犬は友達ではなく、「平衡の王女の顕現」なです。それを表象するように写真(115)「バセンジー犬」の指も三本です。

 なぜ「平衡の王女の顕現」は三本足、三本指なのでしょうか。答えはここにあります.

 

 

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(92)polished black pottery(研磨黒陶器);Usatove,Ukraine(黒海沿岸のモルドバ寄り)

 BC5,000年頃: MYSTERIES OF ANCIRNT UKRAINE

 

BC5,500年頃になると、縄文草創期とよく似たKoros-Cris cultureの土器は、縄文土器早期からの撚糸文や押型文、貝殻沈線文などのような「Linear Pottery (線文土器)」となって、ヨーロッパ西方に伝播していました。Koros-Cris cultureのような概念は薄れ、「雨」の文様を機械的に施しただけの実用的な土器群です。一方、バルカン半島、ブルガリア、ルーマニア、モルドバ、ウクライナには地中海から新しい数々の部族が、より発展したズールーの概念を持って北上します。また後ほど書きたいと思いますが「Hamangia culture」の神像などには、マジシ・クネーネがズールーの口承伝承の語り部だった曾祖母から聞き取り、「アフリカ創世の神話」に書き留めた、神々の「しぐさ」がそのまま見られます。「ズールーの創世神話」もこの頃には完成していたと思われます。北上した部族の文化は、それぞれの地名から、Karanobo culture,Hamangia culture,Vinca culture,Boian culture,Gunelnita-Karanovo culture,Cernavoda cultureなどと呼ばれています。いずれも「Sesklo culture」から続く「ズールーの概念」を部族別に変容して持っています。

その中の一部族が持っていたのが美しく光沢のある「polished black pottery(研磨黒陶器)」です。旧石器時代から続く「雨」、「水」の表象「三本線」と「水玉」の三本線が同じ意味であることを表しています。土器の形も「玉」で、「平衡の王女」の顕現になっています。(参照)

 

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(70)「雨」、「水玉」から「玉」へ「平衡の王女の顕現・雨の王女」の変容:和久譲治メモ

 

 八咫烏や神話の犬(Cucuteni-Trypilian culture)の三本指、三本足の意味は「polished black pottery(研磨黒陶器)」と同じく「平衡の王女」の顕現であることです。王女の顕現は色々な実在物や自然現象に現れます。八咫烏が「平衡の王女」の顕現であるなら、アイヌ語の「黒い神」(黒・神)・「kunne-kamuy]、「烏の神」(カラス・神)・「paskur-kamuy」と「イオマンテの祭壇」の「黒い顔の神」そして「雲」、「雨」の文様が織り込まれた「イオマンテの祭壇」のゴザから言えるのは、「黒」は、少なくても日本に於いて、古来「神の色・平衡の王女の色」だった事実です。

、また「高床式建築物」は「脚付建築物」と考えた方が、土器などとの概念的な繋がりが解り易くなります。

 

 

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(93)喜びにあふれ、両の手で頭を休めるルーマニア「Hamangia culture」の神像 BC5,000;年頃 ;古ヨーロッパの神々

 

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(94)喜びにあふれ、両の手で頭を休めるモルドバ、「Petreşti culture」の神像 BC5,500;年頃;古ヨーロッパの神々

 

 二つの神像は同じ観念に基づいた、同じアフリカ創世神話の、同じ場面を、違った部族が表現しています。「平衡の王女」以外の神像は大変珍しい物です。陶芸技術の違い、表現の違いが良く解ります。いずれもこの時期polished black pottery(研磨黒陶器)と共に南からやって来た部族と文化です。この時期の文様は編目により幾何学的に変容したものから、写真(112)Cucuteni- culture(ルーマニア)・壺の文様のようにS字型の「雲」など具象物からの表現が多くなります。日本でも縄文前期から具象物からの「雲」と「雨」の表現が多くなり、縄文中期に「火焔型土器」や「水煙文土器」などと呼ばれる「雲」・「雨」文様の立体表現が現れています。

 

 

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