「イシュタル」の表象(3)
新たな発見-雨による平衡の女神のポーズから解ること・バルカン半島(4)
「Sesklo culture」と「Dimini culture」
共同体のような部族社会だったバルカン半島に、「力と富による権力構造」を持った部族が現れたのはBC5,000年頃です。そしてその部族はBC4,400年頃「Sesklo culture」を破壊を持って終焉させています。一般にその部族の文化が,「Sesklo culture」のすぐ近くに起こった「Dimini culture(BC4,800~4,500年頃)」だと言われています。しかし、「Dimini culture」の表象や考古学的遺物を見ると、全く違った結論が出てきます。「鳥の神格」が現れる直前のバルカン半島も「Dimini culture」の表象から見えてきます。
まずは「Dimini culture」の神像と以前に紹介した「Sesklo culture」の神像を見比べて下さい。
(84・a)母子像・Dimini culture、BC4,800~4,500年頃;古ヨーロッパの女神
(84・b)母子像・Dimini culture、BC4,800~4,500年頃;chronos/01
まずこの女神像はその構成から、「Sesklo cultureの男神像」をモデルに作られている事が解ります。そして、全身を覆う文様は胸の「渦巻」が広がった表現だと解ります。
「渦巻」の表象(参照)は「生命の誕生」であり、子供を抱く姿と一致しています。つまり、この神像は「ヴィーナス像」なのです。
そして彼らの代表的な遺物に「土器」と「貝製品」があります。
(85)男神像・Sesklo culture,BC6,000年頃;古ヨーロッパの女神
写真(86)・(87)の土器を見ても「雨粒」、「雨」を表す「平行線」が見えたり、「ズールー部族の盾」あるいは「旧石器時代の女陰」(写真(87)の土器にはこの表象の「切り込み」があります。そして中にに「平衡」を表す「ジグザグ線」を入れています。両方で「平衡の女神」を表すと考えられます。
「貝製品」を見ても彼らは「巻貝」(参照)を「渦巻」の具現物として大切にしていたと思われるのですが、「 shell of Spondylus 」(参照)のような「二枚貝」(参照)の製品も見つかっています。これもまた地中海海洋民から取り入れています。つまり「土器」と「貝製品」はバルカン半島をはじめとする近隣部族との交易のために作られていたと考えられるのです。このような製品作りは「Dimini culture」の西方、北方で「ドナウ川」までの「Vinca culture(BC5,700~4,500年頃)」でも確認されています。
まとめると、「Dimini culture」の部族は「オーリニャック文化」期の新人(ホモサピエンス・サピエンス)(参照) の子孫(Y・haplogroupC1a2 )で「渦巻き=生命の誕生=巻貝+オーカー」の表象を大切にしていたようです。バルカン半島に北アフリカの部族が現れるとその影響を受け、文化を発達させ、同じ系列の「Vinca culture」そして北方に現れた「マグダレニアン期の部族」や「地中海海洋民」と交易をしていたようです。彼らは「Sesklo culture」と共存していたと考えるべきで、「Sesklo culture」の破壊は共同体のような部族社会だったバルカン半島に現れた別の部族を考えるべきです。
そもそも「Vinca culture」も「Dimini culture」も一体だったバルカン半島の古い住人と考えるべきで、そのなかに石積や環濠(BC5,000年頃)が現れた、バルカン半島の状況を考えるべきです。
それはBC5,000年前から始まります。
(86)Dimini pottery;NATIONAL ARCHAEOLOGIAL MUSEUM OF ATHENS
(87)Dimini pottery;chronosu/01
(88)Dimini settlement;odysseus.culture.gr
(83)Late Cucuteni culture,w Ukraina ;c 3,800~3,600BC
The Language of GODDESS
(79)Vinca culture,nw Bulgaria,painted on the wall of Magurata cave (NW.Bulugaria)
chronology unknown
THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas
(女神ポーズの強制)