「イシュタル」の表象(3)
新たな発見-雨による平衡の女神のポーズから解ること・バルカン半島(9)
鳥女神の出現 BC5,000年頃
(106)golden water buffalo(黄金の水牛)
The Varna Regional Museum of History in Bulgaria;Radio Liberty
(107)Solnitsata ruins(stone palisade wall) in Bulgaria
image source: http://bashny.net/
「Vinca culture」に於いて神像の「頭」が「鳥」になり始めるBC4,700年頃、ドナウ川河口に近い「Solnitsata」に石壁に囲まれた居住地が現れています。(Solnitsata ruinsのpottery remainsによる年代;National Geographic) やっと姿を現した「鳥の神格」を持つ部族」の町(砦)です。近郊の「Varuna Necropolis(約300基の墓)」の墳墓から黄金の副葬品等が見つかり「Varna culture」と呼ばれるようになります。墓の様子に貧富の差や身分階級が現れ、階層の無い共同体であったこれまでのバルカン半島には見られない部族の出現だった事が解ります。
「Solnitsata」は「Provadiya rock salt mine」のある「塩」の産地で、町(砦)は貴重であった「塩」を管理下に置き、交易するための要所「Varuna ーSolnitsata」近郊を支配するために、この場所に築いたと考えられます。ただ町(砦)の規模からみて人口は150~350人位(National Geographic記事による)で多くありません。これまでの彼らの影響力から見て戦士が中心の集団ではなかったかと思います。
こうした部族の成り立ちのせいでしょうか。「Vinca culture」後期(BC4,800~4,200年頃)の神像を見ると、「頭」は「鳥」、「体」は「✚」を作っても衣類は「Butmir culture」など北アフリカの影響そのままです。神像に刻まれた表象は「Starcevo culture]」、「Karanovo culture」の影響そのままです。このように、バルカン半島の主要な場所(銅、金、塩の産地)と生産技術を持つ部族を支配しても、管理下にある文化すべてを支配することはしていません。ただ神像の一部を彼らの概念に変容させています。このことが写真(79),(108)に見るように「イシュタルの表象・♀」や「諸刃の斧」などの表象を生むことになります。
(79)女神ポーズの強制;painted on the wall of Magurata cave (NW.Bulugaria)
THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas(参照)
(108〉painted on the wall of Magurata cave (NW.Bulugaria)
「Vinca culture」領域内