形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(9)「イシュタル」の表象(3-15)

 

 

イシュタルの手(3)

ミャオ族と「イシュタルの手と舟」(3)・イシュタルの舟から龍舟へ

 

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(23) 写真(20)・⑧舳先拡大

 

この龍の頭に見える「イシュタルの舟」の舳先も、表象分析すれば「雨による平衡の女神」の表象で出来ていることが解ります。写真(25)、(26)の様に、「イシュタルの舟」の舳先には「Shevron(平衡)のジグザグ線」が、平衡の女神・イシュタルの表象として表れています。そして、コーカサス地方に伝搬した「Shevron(平衡)のジグザグ線」は平衡の表象「蛇」とみなされるようになっていきます。(写真(27))

 

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 (20)ミャオ族、銅鼓船文に刻まれたイシュタルの手と舟

  図説日本人の原郷,第三章舟を浮かべ鼓をたたき租を祀る・萩原秀三郎

 

黒海の沿岸で(多分、コーカサス地方、葦の舟による水葬を考えています。葦の舟の伝搬とコーカサス地方の文化の伝播は重なっています。)死者を冥界に送る「イシュタルの舟」の概念が生れ、世界に伝搬した際に、ドナウ川下流バルカン半島からの伝播は、西と南に「Shevron(平衡)のジグザグ線」を、そのまま「平衡」の表象として伝え、他方、コーカサス地方アナトリア東部からの伝播では「Shevron(平衡)のジグザグ線」を「蛇」とみなして、東に伝えたと考えられます。インドでは「ナーガ」に変容していることを考えると、「蛇」から「龍」への変容は、コーカサス地方を離れ東に移動した部族が、「Shevron(平衡)のジグザグ線・「蛇」と写真(23)に見られる表象を結びつけた結果だと思われるのです。

 

 ナガランド

 インド北東部に暮らす「ナが族」は「巨石を曳いて祀る儀式(祭り)」を行います。「石を切り出し、石を積む」コーカサス地方の部族の特徴を持つこの祭りには、さまざまな「イシュタルの舟」との共通点があります。

まず、大勢で巨石を曳くための長い「縄」は「二匹の絡まった蛇」と同じ概念を持ちます。Sheveron(平衡)のギザギザ線はコーカサス地方で「蛇」に変容します。さらに、コーカサス地方アナトリア地方で、「平衡」の「Ⅱ」の概念を加え、「二匹の絡まった蛇(平衡)」が生まれます。さらに、「二匹の絡まった蛇(平衡)」は「日本のよられた縄(平衡)」にも変容します。私達になじみ深い「注連縄」は、この「平衡」の表象です。

 

ナガランドの、大勢で巨石を縄で曳く儀式の先頭には、写真(24)と同じような「羽根飾り」を着けた人達がいて先導します。つまり、写真( (20))・8、「イシュタルの舟」の再現です。写真 (20)ミャオ族、銅鼓船文に刻まれたイシュタルの手と舟・8はインド北東部で既に現れていたことが解るのです。

 北アメリカ大陸の先住民の「羽根飾り」も「イシュタルの表象」・「写真(23) 写真(20)・⑧舳先拡大」と同じ表象です。このことは、その他多くの共通した表象から理解できます。そして何より、北アメリカ大陸の先住民「ナバホ族」は「ホウジョウ・自然の調和したよい状態」の言葉を持っています。「平衡」の原義です。日本の「豊穣」は本来の語義が狭義に使われたものです。「調和したよい状態」の原義「平衡」は、「天下泰平」、「五穀豊穣」、「家内安全」すべてを包括します。ここでも神社の存在意味が現れています。

 

 

 

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(24)伝統衣装をまとったスー族の戦士、ジトカラ・サ(19世紀の撮影)

   Wikiwand

 

 

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(25)イシュタルの舟;BC3,500年頃、キュクラデス

 

 

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(26)イシュタルの舟;Bronze Age,Foss,Loker-berget, Sweden,

 

 

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(27)CAUCASUS(コーカサス)のクロスステッチ刺繍;DMC Museum Collection

  Cross-Stitch  Folklore 雄鶏社

 

 

 

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