形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

特別編 日本のゴルゴン  唐古・鍵遺跡/清水風遺跡 (4)

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唐古・鍵遺跡の冥界・イシュタルの聖域「清水風遺跡」

 

弥生時代の歴史は面白い。想像を超えた展開をする。

 

田原本町教育委員会の発表(産経ニュース)によると、使用後川に一括投棄された土器の化学分析で、清水風遺跡において米と海の魚やキビ又は米と動物の肉を煮込んだ雑炊を食べていたことが分かったそうです。レシピは分かりませんが、生の米を煮込んだのなら「雑炊」ではなく「リゾット」か「パエリア」と呼ぶべきではないでしょうか。そしてその食習慣は地中海地域に伝わるものです。唐古・鍵遺跡の土器においても同様の検査を行えば、その食習慣が一般的だったのか清水風遺跡領内に限ったのか分ります。興味深いテーマです。

速報 北海道大学の研究者グループによって、唐古・鍵遺跡から見つかった骨が「メスのヒナ鶏」であることがわかりました。鳥占い用に飼われていたと考えられます。

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(32)和久ノート;清水風遺跡の壺絵・イシュタルとゴルゴン 冥界の鳥女神・イシュタル

 

清水風遺跡の壺絵は数々の疑問を解くヒントを与えてくれています。北イタリア・Camonica Valleyの岩絵には人形のゴルゴンは多数描かれるのですが、コーカサスからやってきた来たイシュタルは人形では描かれていません。それでCONCARENAの神聖な後光と習合してゴルゴンになったと解釈していました。しかし、清水風遺跡の壺絵(A)では鳥の女神の戦士として描かれています。むしろゴルゴンは小さくイシュタルの子供のように描かれています。これは岩絵を彫り続けていた部族はCONCARENAの神聖な後光に思い入れが強くゴルゴンを中心に描いたと解釈すべきだと考えます。鳥の羽を付けた男神の「Mars of Todi Etoruria」(参照)はイシュタルから生まれたと考えれば「鳥」で繋がります。コーカサスから北イタリアにやってきた来た部族の中ではゴルゴンと同時にイシュタルも生き続けていたと思います。それがこの小さなゴルゴンに表されていると考えるのです。この小さなゴルゴンの誕生は「戸下神楽」の番付「岩戸」(参照)と同じ展開を示しています。「戸下神楽」で生まれるのは「天照大神」です。私は「戸下神楽」の展開は日向の話だと勘違いしていました。「天照大神」の誕生は「ゴルゴンの誕生」として北イタリアで生まれた概念でした。「弥生人」として日向に降臨した部族は「戸下神楽」の中にその概念を映したのだと思います。「稲作の豊穣」は太陽神ゴルゴンを現生の神として大きくし、イシュタルの神格のほとんどを引き継ぎ、イシュタルを数多い神格の一部であった「冥界の女神」に押しやったようです。このことも北イタリアで起こっていました。両部族の融合と鬩ぎあいが伺えます。

 

(33)Camonica Valleyの岩絵;CAMONICAVALLEY Emmanuel Anati KNOPP

 

この岩絵では人々が「ハゲタカ」を恐れ敬っています。その理由は次の岩絵で分かります。

 

(34)Camonica Valleyの岩絵;CAMONICAVALLEY Emmanuel Anati KNOPP

 

「鳥葬」の岩絵です。コーカサスの習慣は北イタリアに来てからも行われていたようです。黒海大洪水で多くの人命を奪った「洪水」は「雨による平衡の女神イシュタル」に結び付けられて、イシュタルは「冥界の女神」の神格も持つことになります。そして鳥葬の「ハゲワシ」はイシュタルの表象動物になります。このことは以前に紹介した小アジアのチャタル・フュユク第七層・祠堂に描かれています。チャタル・フュユクは大洪水の後、コーカサスの部族が移動した多くの場所の一つです。チャタル・フュユクでそれまで崇められていた「ビーナス像」を穀物庫に投げ込み、祠堂にこの絵を描きました。

 

(35)fresco of Çatalhöyük;チャタル・フュユク第七層・祠堂

        THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

ハゲタカは「雨」の表象の翼で描かれています。この表象は唐古・鍵遺跡の壺絵にも現れています。(和久ノート下段中央) 胴体にも「雨」の表象の「手」と「平行線」(ともに唐古・鍵遺跡、清水風遺跡の壺絵に現れています。)が描かれ「黒海大洪水」と「雨による平衡の女神」を結びつけています。死体を首のないことで描いていることにも注目してください。

 

(36)fresco of Çatalhöyük;チャタル・フュユク第七層・祠堂

        THE LANGUAGE OF THE GODDESS;Marija Gimbutas

 

壁には「△」と「・」で「雨の女神」、イシュタルの表象動物である「水牛」には「二つ穴のまる・豚鼻」と「ギザギザ線・sheveron」の「平衡」の表象が描かれています。イシュタルに捧げられた「頭蓋骨」が見えます。これ以後イシュタルに願い事をする為の「首狩り」や「生贄」が見られるようになります。また「水牛」がイシュタルの表象動物であることも大切です。黒海大洪水以前、淡水湖だったコーカサス地方黒海沿岸には水牛が群れていた光景が考えられるのです。コーカサスの部族の移動には必ず「水牛」と「チーズ」が伴います。北イタリアは「ゴルゴンゾーラ」です。南イタリアではチーズ(モッツァレラ)のことをコーカサス地方の言葉で呼ぶそうです。唐古・鍵遺跡には牛の土製品、そして飛鳥には「蘇」があります。

 

 

 

 

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