形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

特別編 日本のゴルゴン (8)イシュタルの舟

 

弥生時代の壺絵に現れた「イシュタルの舟」のルーツを探す

 

おそらく「イシュタルの舟」の図案が初めて石に彫られたのは、ブルターニュ地方(Brittany)だと考えます。写真(58)の「雨の表象」を逆さにしたシンプルな船です。舟にはイシュタルが乗っています。写真(57)は極めて貴重な映像です。ブルターニュ地方のMane'-Kerioned にある「ドルメン(Dolmenn)・支石墓」に添うように手を加えて成形された「メンヒル(Maenhir)・立石・ここでは石像}が立っています。明らかに写真(58)の舟に乗るイシュタルの姿です。

 

 

(57)Mane'-Kerioned dolumen ; The Megalithic Portal and Megalith Map

 

 

(58)1,2,4-6, megalithic graves of Brittany.4,Petit Mont.;3,Newgrage,Ireland.. ;5,Bamenez、Spain,BC3,000年代

The language of GODDESS  Marija Gimbutas  T&H

 

放射性炭素年代測定は有機物がないと出来ません。人骨があれば可能なのですが、期待したいところです。巨石記念物はハプログループG2aに関係付けられていますが、私も確信をもって正しいと思っています。ただ、正しい年代が分かればどのタイミングで黒海沿岸(特にコーカサス地方)を離れたのかが解かるのです。タイミングは三度あります。1・黒海大洪水の直後、2・洪水の収まったBC4,000頃(Shulaveri-Shomu culture(参照)からの旅たち)3・Yamuna cultureに追われたMaykop cultureの終焉時です。

Shulaveri-Shomu cultureで金鉱石の採掘がはじまり、石を切るための「硬い砂を混ぜた銅器」が生まれたことも時代考証には役立ちます。

ブルターニュ地方(Brittany)でも「自然石」を並べたり立てたりするだけなら、1・黒海大洪水の直後のタイミングでも可能なわけです。たたき割りでなく石切りが確認できれば2・洪水の収まったBC4,000以後になります。

ブルターニュ地方(Brittany)ではカナック列石(参照)など多くの自然石を並べた列石があります。石を三列に並べ二本の太い線あるいは二匹の蛇を作った「平衡の表象」、両サイドには丸の列石で「雨の表象」が伴います。等間隔で面に並べた「雨粒の表象」などです。放射性炭素年代測定が出来れば、どの段階の農耕が伝播したのかもわかるわけです。

写真(58)のイシュタルの姿は「ミノア文明」でも確認できます。さらに「イシュタルの舟」を考えましょう。

でもなぜコーカサス地方から遠く離れた大西洋岸で「イシュタルの舟」は初めて描かれたのでしょうか。

そのヒントは「ハッスーナ」にありました。

 

'(59)和久ノート

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