豊穣をもたらすバセンジー犬
(76)後期ククテニ文化(Cucuteni-Trypillian culture BC5,500~BC2,750年頃)壺絵 西ウクライナ、古ヨーロッパの神々 マリア・ギンブタス
絵の順番が違っています。上方に線状に描かれているのが雲です。線の数が水分を表しますので、3本、4本、5本の順番に見ていきます。渦巻は大地の生命力だと思います。ズールーの概念に「渦巻に支えられた大地」があります。
1.3本線に両端に丸は、3本線に囲まれた2本としてみます。そうすると「平衡」の表象で、両端の丸と合わせて「雨による平衡」になります。すなわち「大地がバランスが取れている状態」になります。晴れの状態です。
2.バセンジー犬がジャンプして雲を呼びます。雲に水分が増えています。
3.さらにバセンジー犬は飛び跳ねて、雲は重く垂れさがってきます。
4.そして雨が降り出しました。
5.バセンジー犬はここでもジャンプして発芽を促し、作物を成長させています。
6.やがて実りのときを迎えます。
Cucuteni-Trypillian culture の部族社会は銅鐸にも描かれていました。(参照)
つまり弥生時代には彼らの部族社会が存在していたことになります。そこで考えるのですが、コンゴ育ちのバセンジー犬は連れた来れなかったのではないでしょうか。
彼らの「豊穣・豊作」を願う思いは、バセンジー犬に似た生き物に向かいます。ピンと立った耳、強いジャンプ力、太い尻尾・・・・そうです。狐に似ているのです。稲荷信仰はCucuteni-Trypillian culture の部族社会が生み出したものではないでしょうか。
(77)久富稲荷の狐
狐が渦巻を持つのは象徴的ですね。壺絵だけでなく、Cucuteni-Trypillian cultureにとって最も大切な表象です。大地は渦巻で支えられています。イタリアの鉄製遺物にも「渦巻に支えられた部族社会」のオブジェがあります。写真(76)に見る通りです。
(78)みんなの犬図鑑・ばせんじー
それたもうひとつ 1.の「雨による平衡」の表象はブルターニュ地方(Brittany)の多くの自然石を並べたカナック列石(参照)
と同じです。カナック列石を作ったのはズールーの概念を持つアフリカの部族ではないでしょうか。ジブラルタル海峡から大西洋岸を北上した部族が展開していたようです。だとするとCucuteni-Trypillian culture (BC5,500~BC2,750年頃)以前の可能性があります。(参照)
これからの研究課題です。