形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

黒海大洪水(6)

 

 

 

Dnieper-Donets culture(BC5,000~BC4,500年頃); wikipedia

 

Wikipediaで見られる複数の雑誌や研究論文にハプログループG2が[Linear Pottery Culture]の全体的にみられることが発表されています。ハプログループGはコーカサスの部族に特徴的なハプログループです。現代でもジョージアの人々の約30.3%にみられます。世界的には珍しく日本、キルギス北アフリカに比較的に多く現れるだけです。

黒海大洪水でDnieper riverからポーランド経由でヨーロッパに広がった[Linear Pottery Culture]の部族はコーカサスの部族が多く含まれていたことになります。

ドニエステル川(Doniesuteru river)からコーカサス平野(Caucasus Plain)の間の文化圏にコーカサスの部族が活動していたことが証明されます。

 

最後は状況証拠になりますが「Dnieper-Donets culture(BC5,000~BC4,500年頃)」について一言。私見では特別の文化が発達したとは思っていません。黒海大洪水で栄えていた文化圏の部族が、Dnieper riverやDonets river沿いにばらばらに逃げた様子が現れているようです。川沿いでは漁猟で、草原や森林に逃げた部族は狩猟で命を繋いだようです。大きな集落もなく、半地下の住居が見つかるのみです。時を経て農耕牧畜を回復していきますが、それぞれ逃避先の部族と融合して、やがて草原の部族に飲み込まれます。

ヨーロッパはLinear Pottery Cultureから農耕牧畜が始まり、新しい文化が次々に流入することになります。

コーカサスではノアの箱舟のような高地から金・銅冶金技術を発達させた部族がワインやチーズと共に世界に旅立ちます。ハゲタカの女神(冥界の女神)の神性も併せ持った「平衡と豊穣の雨の女神」はイシュタルとなって「鳥女神」や「翼を持つ女神」を世界に出現させていきます。

黒海大洪水後の変動の時代が始まります。淡水黒海の沿岸に育った文明の種は、淡水を求め大河や湿地帯に文化を築いていきます。

 

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